ひろしま文化振興財団
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【実施レポート】
鑑賞サポート講座〜文化施設でのアクセシビリティを考える〜

●日時:2024年1月25日(木)10:00〜16:30(雪のち曇り)
●場所:広島県立大学サテライトキャンパスひろしま
 レクチャー会場 504/ワークショップ会場 501
●講師:
 廣川 麻子さん(NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク 理事長)
 岸本 匡史さん((公財)東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 シニア・プログラム・オフィサー)
●協力:
 一般社団法人広島県ろうあ連盟 木村 孝成さん
 広島市中途失聴・難聴者協会 難波 直美さん
●参加者:15名 
●スケジュール
 10:00〜11:00 レクチャー(1) 講師 廣川 麻子さん
 11:10〜12:10 レクチャー(2) 講師 岸本 匡史さん
 12:10〜12:30 質疑応答
 13:30〜15:00 ワークショップ ―聴覚障害者お迎え編―
 15:15〜16:30 意見交換(グループワーク)・まとめ

参加者募集案内はこちら

 今回、国が文化施策の重点取組の一つとして掲げている共生社会の実現を広島県でも推し進めていくため、障害のある方が安心して来場し、舞台芸術を楽しめる環境づくりについて考えるきっかけとするため実施しました。

◆10:00〜 レクチャー(1)
レクチャー(2)の様子  廣川さんに、聴覚障害の特性、文化施設に潜むバリア、さまざまなサポートについて紹介していただきました。
 まず、聞こえについて。それぞれの背景や体調によっても聞こえが変わり、コミュニケーション手段にも得手不得手があることがわかりました。
 コロナの流行によって、マスクで口や表情が隠れてしまい、何を話しているのかわからないことがある一方、客席内で声を出さず案内する方法として、プラカードを掲げたり、掲示物が増えたりと、プラスの変化もあったことを知りました。
 情報を伝える電子メモパットやコミュニケーションボードといったツールはすぐにでも取り組むことができ、伝える際のポイントである笑顔は普段から心がけていることでした。これからの業務に活かせる気づきがたくさんありました。

◆11:10〜 レクチャー(2)
レクチャー(2)の様子  岸本さんに、障害のある方が舞台作品を楽しめる公立文化施設の取組事例について紹介していただきました。
 まず、舞台芸術のアクセシビリティに関する法令から。各条文を参照しながら、文化芸術を享受し創造することは誰もが持つ権利であることや、合理的配慮の必要性を皆で共有しました。
 次に、劇場におけるアクセシビリティを「劇場(ハード面)」「公演鑑賞(観劇)」「事業制作(参加)」にわけ、取り組み事例を具体的に示していただきました。
 岸本さんがこれまで携わられた制作事例から、聴覚障害者が鑑賞をする際により体感できるアイディアを劇場スタッフが出し合ったことや、障害のある人とない人が一緒に舞台に立つ公演では練習段階からコミュニケーションを工夫したことなどが紹介され、リアルな現場の様子を垣間見ることができました。

◆12:10〜 質疑応答
 内容を深堀する質問や所属する施設の現状に照らし合わせての質問があり、新たな気づきにつながりました。
 最後に、ワークショップに協力してくださる木村さんと難波さんの自己紹介で、午前の部は終了しました。

◆13:30〜 ワークショップ ―聴覚障害者お迎え編―
レクチャー(2)の様子  レクチャーをもとに、きこえない・きこえづらい方をお迎えするシミュレーションを行いました。
 参加者は5人1組の3グループにわかれ、「お出迎え時」「公演待ち時」「お見送り時」のいずれかを体験しました。
 体験後のフィードバックでは、レクチャー(2)の様子筆談での回答に時間がかかったのでは、伝え方に失礼はなかったか、など戸惑った気持ちを質問したり、笑顔で大きく口を動かした案内をほめていただいたりと、体験することで気づく学びがたくさんありました。
 また、別のグループが行っている様子を見ることで学びが更に深まりました。

◆15:15〜 意見交換(グループワーク)・まとめ
 廣川さんの進行で意見交換がスタート。木村さんと難波さんから、広島県内で手話通訳や要約筆記を依頼する場合には、地域で活動している団体に相談するのがよいのではといったアドバイスや、これまでの鑑賞経験から主催者が通訳をつけるケースがあまりないといった実情を教えてもらいました。
 最後に、先程のグループにわかれ、今日一日について振り返り、各グループの代表者が発表。ろう者、難聴者、聴者が一緒になって鑑賞サポートを考える機会になりました。

 今回の参加者は、文化施設職員だけでなく、広島を拠点に活動している劇団員、アクセシビリティに興味を持つ方々。さまざまな立場の人が関わることで、誰もが安心して利用できる文化施設、誰もが楽しめる舞台公演が実現すると期待しています。

■参加者の感想
・聴こえない方々との関わりがまったくない状態でしたので、大変よい経験となりました。
・初めて、手話・通訳・要約筆記のある場を体験しています。まず「知れた」ことが大きな一歩となりました。
・ロールプレイは大変楽しかった。他のグループを見るのも参考になった。職場に戻った時に、この経験をいかしていきたい。
・頭では分かっていても、実際対応することで色々なことが分かりました。
・想定と現状のギャップが大きいと感じた。
・聞こえない方が来られることを想定した準備をしていなかったと改めて考えるきっかけになりました。できる準備はすぐにしたいと思います。
・みなさんのポジティブな意見にはげまされた。
・現場や舞台を見に行った経験、生のお話しをたくさんお伺いすることができ大変勉強になった。
・何ごとも実体験が大切だと思いました。