けんみん文化祭ひろしま’16文芸祭
トップページ 事業概要 けんみん文化祭ひろしま'18 文芸祭 入賞・入選作品発表 【俳句】川崎益太郎 選

【俳句】川崎益太郎 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
平泳ぎ手でかく水がランドセル 福山暁の星小学校四年 有田  瑛
【評】平泳ぎをしていると、手が掻いた水が背中を通りランドセルのように感じたという斬新な小学生ならではの句。
教科書の字間を埋める蝉の声 県立広島中学校二年 三宅 結衣
【評】蝉の声が、教科書の字間を埋めるという斬新な捉え方の句。授業が眠いのか,、集中しているのか、は読者に任せている。
父の尻根を生やさせる富貴蘭 県立三原高等学校二年 松井知沙紀
【評】富貴蘭に心を奪われている父を、尻に根を生やすと表現したことに感心した。季語を主語にしたのが、効いている。
思い出とスイカの種は胸の中 県立三原高等学校二年 原  琉誓
【評】〈思い出〉と〈スイカの種〉を、上手く取り合わせた句。確かに、思い出は胸に秘した方が深く残る。
重なる手落ちた消しゴム初紅葉 福山市立誠之中学校三年 三島 一都
【評】少年の恋心がよく表されている。落ちた消しゴムを拾うとき、触れ合った二人の手。「初紅葉」が効いている。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
蝉達が僕に囁く「寝過ぎだぞ」 呉工業高等専門学校一年 瀬川 晃生
にじが出たきれいな空とお見合いだ 大竹市立大竹小学校四年 中村 柚月
すいかわりちがうものわりおこられる 大竹市立大竹小学校三年 江口 久実
空っぽの空に響いたせみの声 三次市立塩町中学校二年 大槻 星歌
もどかしい君への想い青田風 県立三原高等学校一年 中垣日菜子
カブトムシ大きなツノでプロポーズ 大崎上島町立大崎小学校四年 田中 匡弥
蝉時雨語るあの日のヒロシマを 福山市立中央中学校三年 横山 幸音
雨がやみ心と空ににじかかる 廿日市市立佐方小学校五年 森ア 悠介
クリスマス今年も僕はぼっち組 県立三原高等学校二年 西野 大也
たん生日いつもとちがうつつじさく 廿日市市立佐方小学校二年 村岡こひな
春近し君の背中の遠くなる 福山市立中央中学校三年 奥迫 愛花
七輪のサンマが言うよ助けてと 廿日市市立佐方小学校五年 河ア  華
次世代へ八月六日つないでゆく 比治山女子高等学校二年 井上 茉子
両足のうらきもちいい田植えの日 東広島市立吉川小学校四年 原田 蒼唯
夏みかん青春の味覚えてる 福山市立誠之中学校三年 佐久間楓歩
すいかわり「右に曲がって」うそつくな 坂町立横浜小学校六年 花房 優丞
浴衣着たあの日の君はもういない 銀河学院中学校二年  吉井  宏
母の日にてれくさいけどありがとう 廿日市市立佐方小学校六年 藤枝 利胡
あっほたるきらきら光るきれいな子 廿日市市立金剛寺小学校三年 大江けんすけ
かわいいなせんこう花火あっ落ちた 廿日市市立宮園小学校六年 隅田 杏莉

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
梅雨晴間五臓六腑をうらがへす 福山市 柏原 篤子
【評】〈梅雨晴間〉という季語に、俳味を加えて一句を仕上げた。〈うらがへす〉が、言えそうで言えない表現である。
接近の火星をみがきたる野分 福山市 広川 良子
【評】話題の火星の大接近を〈野分〉と取り合わせた。その野分が火星を磨いている、という大胆な表現に感心した。
放浪は象の背を這ふかたつむり 福山市 水川 博晶
【評】放浪という俳人をくすぐる言葉を、無縁のようなかたつむりと、巨大な象とを結び付けた俳味あふれる句である。
抱つこ紐はみ出す足に緑さす 呉市 上野 芳江
【評】〈抱つこ紐〉から足がはみ出している。足に焦点を当て〈緑さす〉という季語を斡旋し、希望のあふれる句になった。
叱られて金魚に愚痴る子供かな 福山市 久保 紘子
【評】一読、いじらしい、かわいい句。口を尖らせて、金魚に愚痴を言っている景が浮かぶ。金魚もさぞ困っているだろう。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
火星接近ヒロシマの流灯会 庄原市 近藤 昌平
空蝉や務めを終へて残りけり 福山市 山根由美子
子規は留守庭に群なす鶏頭花 福山市 山本  愛
浮世絵のすべて面長とろろ汁 呉市 村本 孝子
夾竹桃どの橋渡るも爆心地 広島市 林 たかし
猫の舌ほどの小さき鶏頭花 福山市 山本 昭夫
栗の花少年の声裏返へる 広島市 山口 順子
鈴虫や昭和の残る文具店 広島市 宮本 恭子
自転車の錆のにほひや原爆忌 広島市 熊谷  純
穂芒に風あり吾に詩歌あり 福山市 廣本 貢一
鮮やかな音消ゆる耳冬薔薇 広島市 川崎千鶴子
一すじの汗は男の一行詩 尾道市 前中 吾一
理科室の骸骨の暇夏休み 山県郡安芸太田町 斉藤久美子
窓開けて遺影に見せむ良夜かな 福山市 北村  梢
春の風あんのんあんのんそよそより 福山市 石崎 勝子
画用紙につぎ足して描く桜鯛 広島市 天野  泰
草茂るのみ廃校と廃屋と 呉市 伊藤千賀子
子どもには子どものたつき桐の花 庄原市 林  武志
梅雨出水生きし証を奪ひ去る 福山市 貝原 玲子
看護師に秘密がばれる秋の朝 尾道市 木梨 瑞穂