けんみん文化祭ひろしま’14文芸祭
トップページ 事業概要 けんみん文化祭ひろしま'14 文芸祭 入賞・入選作品発表 【俳句】木村里風子 選

【俳句】木村里風子 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
灯籠の影どこへ行く夜の川 清水ヶ丘高等学校三年 三好 結奈
【評】八月六日の夜に流燈会があり、市民の平和を祈る鎮魂を乗せて流れる灯籠はどこへ。祈る人の姿が見えます。
夏の空白い落書き飛行機雲 庄原市立庄原中学校三年 渡辺 和之
【評】高空を飛ぶ飛行機が引く白い線を空の落書と感じた空想力は素直で、またするどいのです。
くもの巣が光って消えて雨の音 広島市立五日市観音中学校三年 福本 雄大
【評】円型のくもの囲い日が当り、光っていたのが、急に雲って光りが消えた、と思ったら雨、くもはどこへ行ったの。
通学路ふうりんの音に耳すます 廿日市市立廿日市中学校一年 倉田 愛子
【評】涼しく鳴る風鈴に耳を片向ける。この一言で鳴っている音が涼しい。感性の鋭さの句。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
屋上で独り眺めた天の川 呉市立呉高等学校一年 平本 一葉
無人駅ベンチに残りし夏帽子 府中市立国府小学校六年 内海 遥奈
あきあかね夕日と一緒に二人旅 福山市立山野中学校二年 浅井 秋子
夏のくれ耳に残った波の音 福山市立広瀬中学校一年 瀬良 和暉
胸をはり天を見据える向日葵だ 福山市立広瀬中学校三年 佐藤穂奈美
いつも聴くセミの鳴き声通学路 廿日市市立廿日市中学校二年 政木 信一
並木道風に吹かれて散るさくら 福山市立城南中学校二年 舟城 未紗
夕焼けにきれいに染まる空や海 三次市立十日市中学校三年 谷  美月
自転車で過ぎ去ってゆく春の道 広島市立東原中学校三年 平西 春菜
夕立ちの後に光るは虹の空 山陽女学園中等部二年 寺見 咲希
自転車で登る坂道蝉の声 広島大学附属三原中学校二年 船倉 開登
パタパタとうちわの風をかあさんに 福山市立川口東小学校二年 坂井 勇一
森の中たけの子さんがかくれてる 廿日市市立宮園小学校二年 隅田 杏莉
トンボがね二ひきでじゃれて遊んでる 府中町立府中中央小学校五年 堤下 紗衣
小さき苗元気に育てと田植えする 広島市立可部小学校五年 甲斐陽菜多
朝がおは早おきしてるお花だね 府中町立府中中央小学校二年 中本 風椛
にじの下通ってみたいいつの日か 府中町立府中中央小学校四年 藤重 歩夢
百日紅燃える暑さにそまる色 福山市立御幸小学校六年 中山 兼成

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
独り居の灯へ寒柝の一打かな 安芸郡府中町 石橋 康徳
【評】寒柝の一打は変りないかという一打であろう。感謝の一打である。
蕎麦の花斜めに山を切り開く 広島市 澤村 文江
【評】蕎麦は荒地によく育ち短期間で収穫が出来る。それを知って山を切り開いたのである。生活が見える。
新しき遺影とともに冬ごもり 広島市 森本 弘子
【評】新しい遺影は夫か妻か、悲哀のある句であり、共に冬ごもりは温かい愛情でもある。人生の哀歓の句。
また一戸減りたる話炭爆ぜる 広島市 北川貴和子
【評】農村の深刻な生活が感じられる。一戸減りは普通ではないのである。
磨きたる換気扇より春の風 安芸郡府中町 有田 照美
【評】明るい台所が感じられ、春の風の措辞は若い主婦と思わせる。磨いた換気扇が見えるのは即物具象。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
ほつれたるままの干網海猫鳴けり 広島市 嶋治久美子
記念碑の鎖の錆や広島忌 広島市 正山 史明
春うらら船に雑魚寝の箱枕 広島市 井原 淑子
牛ぬつと首出す夕べ韮の花 広島市 井白 清美
少年と見てゐる海月裏返る 廿日市市 辻 美惠子
初生りの真瓜仏と分け合へり 福山市 小笠原伸子
廃屋の古りし表札カンナ燃ゆ 広島市 大久保喜久子
緑さす丸き窓開く古刹かな 広島市 山崎 和子
納屋の鋤古草からめ錆びてをり 廿日市市 平井 禮子
花田植孕める牛の飾り解く 広島市 山田 雅子
水口に榊を祀る神の島 福山市 林 万理子
堰落ちる水を月光さかのぼる 広島市 清水亀美恵
花柄の長靴軽し梅雨晴間 東広島市 寺田 記代
無限大の大の形に昼寝の児 福山市 大塚 文枝
流燈を押し出す沖の闇深し 広島市 亀井 朝子
花火打ち揚げては星の天こがす 庄原市 矢崎 稔子
工事場の朝の体操風光る 広島市 石井三和子
流さるる阿蘇の噴煙初嵐 大竹市 山本 幸枝
朝霧に動きだしたる牛の群れ 広島市 藤谷 知子
大花火夜空の闇を奪ひ合ふ 福山市 歌谷 典華