ひろしま文化振興財団
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第2回広島文化賞新人賞

 財団法人ひろしま文化振興財団では、心豊かなうるおいのある地域社会の創造に寄与するため、地域文化の向上、普及に貢献した個人又は団体を毎年、「広島文化賞」として顕彰しています。
 その一つとして平成15年度から、優れた文化活動を行なう新進気鋭の個人に対し、顕彰する「広島文化賞新人賞」を新たに設けました。
 この第2回目の広島文化賞新人賞に、長原幸太氏が決定しました。

プロフィール第2回 広島文化賞新人賞受賞者 長原幸太さん
 同氏は11歳で全日本学生音楽コンクール全国第1位を受賞し翌年連覇、1994年リピンスキ・ヴィエニヤフスキ国際コンクールジュニア部門では第3位を獲得している。以後、国内外で数々の賞を受賞し、1998年には日本音楽コンクールで最年少優勝を果たすなど、早くからその実力を認められ、小澤征爾、岩城宏之、秋山和慶、ゲルハルト・ボッセといった世界的な名指揮者とも共演を果たした。

 東京藝術大学在学中に全額スカラシップを受け、ジュリア―ド音楽院に留学し、さらなる才能を開花させた氏は、2004年より大阪フィルハーモニー交響楽団の首席客演コンサートマスターを務め、2006年より首席コンサートマスターに就任した。

 アルゲリッチ国際音楽祭、宮崎国際音楽祭、やまなみ国際音楽祭、英国LAKE DISTRICT、及びRYEDALE、米国ASPEN等の各地の音楽祭に演奏家として参加するだけにとどまらず、「呉・広島に元気をあげたい芸予地震被災者支援チャリティーコンサート」を開催した。

 2005年には「被爆60周年 平和への祈り 長原幸太ヴァイオリンコンチェルトの夕べ」を藝大等の協力を得て広島にて開催し、松下功作曲「二重協奏曲」の世界初演など、演奏を通じてのボランティア活動にも力を入れている。

 広島から世界へ羽ばたく芸術家の一人として、今後一層の成長と活躍が期待される。

長原幸太さんインタビュー


広島文化賞新人賞を受賞された長原幸太さんへのインタビューです。


広島文化賞新人賞受賞の知らせを受けたときのご感想をお聞かせください。
大変光栄に思いました。


大阪フィルハーモニー交響楽団でコンサートマスターをなさっておられますが、コンサートマスターの任務はどんな事ですか?
指揮者と団員のパイプ役です。一般の企業でしたら「中間管理職」といったところでしょうか。。。


今までの音楽活動の中で、一番印象に残っていることは何ですか
沢山ありますが、敢えて下記のようにあげてみました。

○ 小学6年(11歳)で、全日本学生音楽コンクール全国第1位になった時や、その後、東京芸術劇場という2000人も入る大きなホールで、東京交響楽団と共演した事。
○ 13歳で、初めて海外(ポーランド)のコンクールに行き、3位に入賞できた事。地元の人が多く聞きにきてくださって、よい演奏をしたときは、本当に素直に喜んでくださったのがダイレクトに解り、嬉しかったです。
○ 高校1年生の秋に、左手首を骨折し、広島アジア大会記念コンサートに出演する予定が無理になった事。このときは完治するのに7ヶ月かかりました。
○ 初めて大阪フィルハーモニーに客演コンサートマスターとして出演した時、音楽監督の大植英次さんから、是非大阪フィルハーモニーのコンサートマスターに、と要請していただいた時の事

「のだめカンタービレ」が流行しましたが、クラシックのファン層も、そういった事で変化がありましたか?
CDも沢山売れたと聞きましたし、コンサートのチケットもすぐ完売で、追加公演までおこなったくらいの人気ぶりで、クラシック音楽ファンの拡大につながったのでは―とは思いますが、これが一時的なものではなく、永続的なものになるようにするのが、私達音楽家の使命だと思っています。



広島で今後やってみたいコンサートやイベントがあれば、お聞かせください。
コンチェルトばかり3曲でのリサイタル(オーケストラの伴奏で)をやりたいです。普通リサイタルだとピアノ伴奏ですし、オーケストラと共演する場合は、ひとつのコンサート中1曲のみの共演で、残りの曲はシンフォニーなどとなり、ソリストは演奏しないので。



これから音楽を勉強していこうとする若者たちに、メッセージがあればどうぞ
テクニック的に上手でも、その人のキャラクターが音楽に現れますから、コンクール等の目先の事にとらわれず、幅広く色々な事を経験して、様々な事を感じ、まず大きな人間になっていただきたいと思います。



長原さんには貴重なお時間を頂戴し、ひとつひとつ丁寧にお答えいただきました。ありがとうございました。

26歳という若さ溢れる長原さんですが、音楽に対する真摯な態度、音楽を愛してやまないその姿は、非常に頼もしく心強く感じました。これからのクラシック界を益々盛り立てていかれること間違いなしと確信いたしました。

長原さんのさらなるご活躍を、財団職員一同、心よりお祈りいたしております。
(平成19年8月吉日)