ひろしま文化振興財団
トップページ 広島文化賞・広島文化賞新人賞 第27回広島文化賞・受賞者詳細

第27回広島文化賞・受賞者詳細


個人の部(美術/洋画)

入野忠芳いりのただよし 氏(広島市)

入野忠芳氏  1962年、氏は武蔵野美術大学卒業後、広島市において入野美術研究所を開設し、以来活発に創作活動を行うとともに、後進の育成に尽力した。
 1975年、作品『裂罅(れっか)』で第11回現代日本美術展大賞を受賞し、数多くの個展を東京・広島などで行う。1989年に制作された、広島拘置所の外壁画が氏の作品であることは広く知られている。
 その後、戦後の広島をテーマにした作品の数々を制作し、被爆50周年を記念した「ヒロシマ50」と題した企画展や、昨年、被爆60周年記念「ヒロシマ60・消失と生成展」を開催した。
 現在ではヒロシマの現代美術界をリードし、企画展は国内だけではなく、韓国や中国などでも開催し、国際交流の振興にも貢献している。
 おもな受賞は、ヒロシマアートグラント、日本旅行記賞次席、アジア大会記念芸術大賞展大賞、1996年には広島市政功労者表彰を受賞している。


個人の部(美術/彫刻)

杭谷一東くえたにかずとう 氏(千葉市)

杭谷一東氏  氏は、伯父の圓鍔勝三氏(彫刻家)に早くから才能を見出され、1962年、木材彫刻において20歳で日展に初入選を果たし、その後連続8回に及ぶ入選を果たした。
 石の彫刻に魅せられた氏は、27歳でイタリアへ渡り、国立アカデミーでファッツィーニー氏に師事し、イタリア・カッラーラの産の石材を使用した彫刻作品に取り組んだ。3年間の留学を経て、卒業時には同アカデミーの最優秀ミネルヴァ賞を、アカデミーで最初に受賞した。そして、ラヴェンナ国際ビエンナーレ金賞受賞、ヘンリームーア大賞(箱根彫刻の森美術館)や、世界的に権威のあるMAA(マーブル・アーキテクチュアル・アワード都市景観部門)大賞など数多くの賞を受賞している。
 また、氏の制作された環境彫刻の多くが広島県内に設置されている。代表作として、耕三寺博物館・巍々園の『未来心の丘』は12年もの歳月をかけて制作をされたものであり、国外においても、イタリア・奇跡の広場において『和舒門』を設置するなど、彫刻作品と自然景観の融合を目指した環境彫刻制作をライフワークとしている。


団体の部(伝統・民俗芸能/能楽)

尾道薪能実行委員会おのみちたきぎのうじっこういいんかい(尾道市)

尾道薪能実行委員会  1992年、広く一般に「能」を観賞してもらう為に設立された。
 会場を尾道市の浄土寺として、国宝の多寶塔を借景に薪を焚き、境内に組んだ特設舞台や重要文化財「阿弥陀堂」で演能する。
 月明かりと焚火で照明された演舞により、幽玄な世界を表現した「尾道薪能」は、恒例の春の文化行事となった。また浄土寺は能楽の発展に尽力した足利氏ゆかりの寺であり、浄土寺での公演は歴史的な認識を深める機会となった。
 毎年の「尾道薪能」には多くの来場者が訪れるだけではなく、市内の小学生に仕舞や謡曲の指導を行う等、文化の継承に貢献している。

「ひろしま文化大百科」トピックス掲載情報


広島文化賞表彰式

表彰式スナップ1 2006(平成18)年11月28日(火)
鯉城会館サファイアにて

表彰式スナップ2

手前左から、入野忠芳さん、杭谷一東さん、尾道薪能実行委員会の吉田さん、堀田さん