ひろしま文化振興財団
トップページ 広島文化賞・広島文化賞新人賞 第26回広島文化賞・受賞者詳細

第26回広島文化賞・受賞者詳細


個人の部(美術/彫刻)

吉田正浪よしだまさなみ 氏(広島市)

吉田正浪氏  氏は彫刻制作活動を今日に至るまで半世紀にもわたって続け、広島県彫刻界の牽引役を果たしてきた。
 その才能は早くから開花し、25歳のとき、1962(昭和37)年の第14回広島県美術展において、絵画、彫刻、工芸(陶芸)の3部門において入選。しかも彫刻部門では「広島県知事賞」を受賞するという同展史上、前例のない快挙を成し遂げた。以後も着実に実績を積み、1970(昭和45)年には、同展での最高の文部大臣奨励賞を受賞。これらの功績が認められ、1971(昭和46)年には無鑑査作家に推挙されるとともに、広島県立美術館協議会委員などを歴任し、県内の文化芸術振興に大きく寄与した。また、新制作協会展にも活動の場を求め、1978(昭和53)年に、会員推挙を受け、翌年からは、同展の審査員を今日まで務める等、広島県内にとどまらず、日本の彫刻会のリーダー的存在として重きをなしている。また、白身の創作活動だけでなく、後進の育成にも力を注ぎ、38年間の長きにわたり、美術教育にも携わってきた。その卓越した指導力で、毎年多くの教え子たちが、公募展等で入賞、入選を果たすなどの実績を残している。
 氏は請われて地元広島のモニュメントの制作にあたっており、「青年像」(広島市安芸区役所)、「母の像・原爆慰霊碑」(広島市中区袋町公園)など、その生命感あふれる数多くの作品は、県民に安らぎと憩いをあたえてくれる。 


個人の部(音楽/洋楽)

松本憲治まつもとけんじ 氏(廿日市市)

松本憲治氏  1978(昭和53)年、東京藝術大学音楽学部声楽科卒業後、バリトン歌手としての活動の他に、作・編曲、指揮、音楽・舞台芸術イベントの演出・構成など幅広く活躍する。常にアマチュアリズム、つまり市民の音楽文化を意識し、広島県内の幾つかの合唱団の指揮、指導を行いながら、広島の音楽界を足元から支えてきた。この「アマチュア精神」の体現として、中国放送主催「第九ひろしま」を一時中断があったものの、延べ11年問にわたって指導。今やこの第九は広島の年末恒例行事としてすっかりお馴染みとなった。また、8年問、20回におよび構成、司会を続けている、市民のためのサロンコンサート「歌曲のしらべ」や、近年取り組んでいる親と子のためのオリジナル音楽と名作童話朗読「おはなしおんがく」シリーズなどにも、その姿勢は表れている。
 さらに、氏の大きな功績の一つにオペラの普及、振興がある。広島市が1992(平成4)年から文化庁との共催により開始した「ひろしまオペラルネッサンス」事業で、立ち上げ前から、指導的役割を果たし、現在の「オペラの街広島」の礎を築いた。
 現在では、四国や近畿地方などでオペラの指揮、演出を行い、広島県内にとどまらず、他府県にもその活動の場を広げて音楽活動を展開。また、新聞への音楽評などの執筆もこなしている。
 氏の「音楽の素晴らしさや魅力、楽しさを多くの人と分かち合いたい」という情熱が、県内のさらなる文化水準向上の一翼を担っていくことは間違いない。


団体の部(音楽/雅楽)

坂雅正会さかがしょうかい(安芸郡坂町)

坂雅正会  1893(明治26)年、安芸郡坂村在住の彫刻師、林正市氏が、当時の鹿児島別院の輪番、小笠原格亮氏に雅楽を教わり、坂村に帰って仕事仲間や身内に教えたのが会の始まりである。以後、100年以上に渡って、日本古来の伝統音楽である雅楽を継承してきた。
 町内はもとより・県内外から諸行事に招かれ、演奏活動を実施し、その優雅な音色は高い評価を受けている。
 1997(平成9)年に出演したけんみん文化祭「邦楽と日本舞踊の祭典」では優秀賞を受賞。その幻想的かつ華麗な演奏に多くの聴衆が魅了された。その他に広島護国神社の大祭、坂町文化祭に毎年出演する等、枚挙に暇がない。
 最近は、伝統に縛られることなく、新たな試みも行なっている。2004(平成16)年には、マンドリンとのコラボレーションを実現し、雅楽の新たな世界を構築し始めている。
 また、演奏活動だけにとどまらず、学校や教育機関などでの講習会にも力を人れ、広島県内における雅楽の裾野を広げ、後継者の育成を図るために尽力している。
 現在、会員21名に、小学生2名、中学生1名、高校生1名等が練習に加わり、演奏に磨きをかけるとともに、後世に継承すべく、稽古を重ねており、今後の一層の活躍が期待される。


広島文化賞表彰式

理事長あいさつ
角廣理事長あいさつ

2005(平成17)年12月3日(土)14時30分〜
広島県民文化センターホールにて

吉田さんごあいさつ
吉田正浪さんからごあいさつをいただきました。
受賞者の皆さん
受賞者の皆さん

表彰式後、場所を移して歓談会を行いました。

集合写真
吉田さん 松本さん 坂賀正会さん