個人の部(地域文化)
入船裕二 氏(尾道市)
漢詩や中国古典・郷土史研究に力を注ぎ、研究成果を書物として出版するなど、尾道の文化の推進・学術の振興に貢献し地域文化の掘り起こしや文化活動への支援に献身的に尽力している。
尾道出身の女流画家「平田玉蘊」の研究においては、毎年「玉蘊忌」として顕彰と研究発表の機会を主宰し、没後150年の2005(平成17)年に向け記念碑建立のために奔走中である。
尾道の歴史を文学的につづった著書を出版し、新たな視点から郷土史研究に力を注ぐほか、頼山陽、菅茶山らが残した尾道の詩をわかりやすく紹介するなど、文学を通じた地域振興に寄与している。
地域の文化振興にも数多く携わっており、尾道市文化協会顧問、文学フェア実行委員会会長、林芙美子生誕100年記念実行委員会会長などを歴任している。
さらに、『史記』研究の会の主宰や、文化講座を開催するなど社会教育の立場から後進の指導及び文化の振興に邁進している。
個人の部(美術)
金城一国斎 氏(広島市)
漆芸では全国でも二番目に古く160年の伝統がある「高盛絵」を1986(昭和61)年から、祖父勝人(五代)に師事し、これまでの伝統的な技法に、新たに学んだ漆芸の技法を取り入れた独特の作風を築いている。
1991(平成3)年、七代金城一国斎を襲名
1992(平成4)年、日本伝統工芸展に初入選を果たし、以来数多くの公募展で入選を重ね、1993(平成5)年には浩宮皇太子殿下雅子妃殿下のご成婚に際し「彫漆高盛絵色紙箱石庭」が、また1997(平成9)年、秋篠宮殿下御来広に際し「高盛絵紅葉箱」が広島県からの献上の品となった。
また、自身の芸術活動のみならず、広島県立美術館の委嘱により、小学校の訪問授業の講師を務めるほか、平成15年度中学校・高等学校教育研究大会でも講師を務めるなど地域の文化振興にも尽力している。
県内の活動だけでなく、1994(平成6)年に東京国立近代美術館で開催された「現代の彫漆展」や、1998(平成10)年、台北で開催された「世界漆芸展」へ招待出品するなど活動範囲を広げ、世界的にも高い評価を得ている。
今後、広島における伝統文化の継承、振興への貢献が期待される芸術家の一人である。
団体の部(音楽)
広島中央合唱団(安芸郡海田町)
1964(昭和39)年に、合唱経験者たちにより混声合唱団として誕生した。
以後、毎年開催している定期演奏会を中心に、広島県合唱連盟に加入、数多くのイベントに参加、そして他合唱団とも積極的に交流を図るなど、多彩な音楽活動を展開。
広島国体やねんりんピック、平和記念式典などに合唱隊として参加し、広く県民に合唱音楽に触れる機会を提供している。
1994(平成6)年にはウィーン国連デー・平和コンサートに招聘され、合唱を通じて国際交流にも貢献している。平成14年の第37回定期演奏会では、交流のある外国人指揮者をウィーンから招聘し広島交響樂団と共演を果たすなど、先駆的でレベルの高い合唱団として定評を得ている。
全国規模の合唱コンクールでは県大会・中国大会で金賞を受賞、全国大会出場を果たすなど高い評価を受けている。
こうした活動は、他の音楽団体の活動の活性化や、人々の文化活動への参加の気運を高める機会ともなり、地域文化の振興に果たしている役割は大きい。
現在、60名余の団員がさらなる合唱力の向上をめざして練習を重ねており、今後の活躍が期待される。
広島文化賞表彰式
第25回広島文化賞表彰式
2004(平成16)年11月16日(火)
鯉城会館にて