生かされるだけで水さえ飲めぬのに延命措置の苦を叫びたい
|
江田島市
|
住田 照水
|
【評】ALS患者嘱託殺人事件を思い出す。作者は代筆してもらったのだろう。心の叫びが定型に乗って伝わってくる。
|
「まあ、わたしもう八十才」ワクチンの接種票手に呟きおりぬ
|
福山市
|
金尾 洵子
|
【評】「まあ、わたし・・」が歌を明るくしている。暗くなりがちな題材だが、これでワクチンもよく効いたはず。
|
【評】二〇一四、二〇一八、そして今年広島は相次いで豪雨災害に見舞われた。「呼吸忘れて」が効いている。
|
病む妻の浴後の着衣の難しく叱りつけたり共に泣きたり
|
三次市
|
中久保四郎
|
【評】老々介護の厳しさを詠った。四句五句から辛い中での愛情の存在が感じられる。介護の短歌を詠み続けてほしい。
|
コンベアーに乗りたるように粛々とコロナワクチン接種受けたり
|
安芸高田市
|
井上 愛
|
【評】コロナ禍もワクチンのおかげでやや冷静に語られるようになった現在を特徴的に詠んだ短歌。「粛々と」が効いている。
|