けんみん文化祭ひろしま'21文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま'21文芸祭 文芸祭 入賞・入選作品発表 【短歌】香川哲三 選

【短歌】香川哲三 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
竹の中ゆれる光に近づけてついた光の手花火リレー 比治山女子中学校一年 景山 葉月
【評】言葉が美しく綴られており、詩情豊かな作品です。「竹の中」など手花火リレーの様子が目に浮かぶようです。
いきなりの家族全員緊急避難眠れない夜過酷な時間 県立広島中央特別支援学校高等部二年 銭谷 秀平
【評】集中豪雨に襲われた際に、家族揃って大急ぎで緊急避難した際の状況が、とてもリアルに伝わってきます。
バトン手に風をきりつつかけぬける青空の下仲間のもとへ 県立三原高等学校二年 上野 幹実
【評】バトンリレ―で懸命に走っている作者の様子と、その気持ちが表れています。結句からも連帯感が伝わってきます。
コロナ禍で会えないからとスマホ買い慣れぬ手つきの祖母との通話 県立三原高等学校二年 日野 柚葉
【評】コロナ禍により大きく変わった生活です。その一面が良く表現されており、祖母への作者の気持ちも表れています。
ちゃあちゃんとかわいくよぶよぼくのことしゃべりはじめたいもうと一さい 庄原市立東小学校二年 吉岡 俊哉
【評】言葉をしゃべり始めた妹をみて、とても可愛いなと思っている「ぼく」の表情が、目に見えるようです。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
日が変わり年を重ねた友人へ深夜に送る祝いのメール 福山市立鷹取中学校二年 廣原 茉生
グランドの木の葉が風でゆれているさらさらゆらら気持ちよさそう 庄原市立高野小学校三年 中山日南登
雷鳴と緊急警報鳴り響く夜中の3時安眠出来ず 県立三原高等学校一年 落合 陸斗
なつのよるてもちはなびがぴかぴかとつられてほたるもきれいにひかる 庄原市立東小学校一年 中原 遥斗
ひなんした車でねむるはじめてだ雨音こわいがおやすみなさい 三次市立八次小学校二年 道木 瑠菜
抗体を高熱出たが手に入れた早く実習行けるといいな 県立広島皆実高等学校三年 上垣 七瀬
庭に来た幼いメジロ眺めては静かにほほえむ祖父と祖母 廿日市市立廿日市中学校二年 福田 優夢
あきらめない!最後の笛が響くまでバスケにかける私の青春 県立広島皆実高等学校一年 田所彩実南
友人の眼鏡焼け見て夏を知る吹奏楽部の淡い思い出 県立尾道北高等学校一年 子迫 奏葉
大雨にコロナと続く夏休みどこにも行かれず過ぎてゆく日々 県立尾道北高等学校一年 林  柚希
息を吐き大筆持って一画目白い世界を黒で彩る 呉市立呉高等学校一年 平岡 麗菜
ねむたいなオリンピックのけっしょうせんがんばれ日本がんばれ自分 庄原市立東小学校二年 岩ア  薫
不合格その結果聞き大号泣それでも私諦めません 呉市立呉高等学校二年 田村 奈津
「マスクやだ、もういいでしょ。」と弟が言わなくなった一年半後 広島市立三和中学校二年 久保田朔矢
草むらで寝ころぶ私に吹く風はいつも優しく私を包む 呉市立川尻中学校二年 原  柚月
ハイタッチ自然に体がかけよるが触れ合うすんぜんだめだと気付く 県立三原高等学校一年 河田 莉奈
夏休み遊ぶ予定が一つもない唯一入ったワクチン接種 県立三原高等学校二年 屋敷 結香
げんかんのところにセミが二ひきいたじめんにおちてゆっくり歩く 三次市立八次小学校二年 加藤  善
ふつうならエアコンつけて窓しめる今ではかん気窓あける夏 三次市立八次小学校五年 市井 陽人
祖父母には小さいままの僕なのは会えない時が長すぎるから 福山市立城北中学校二年 岩永 優矢

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
今摘みし蓬のうつり香箸使う野良の昼餉の指に匂うも 山県郡安芸太田町 岩本美智子
【評】作業中の畑で昼食をしているひと時の安らぎが、「蓬のうつり香」を中心に、とてもよく表現されています。
朝な夕な試歩ひたすらの冬耐えて妻は果樹園の陽だまりに立つ 尾道市 仲尾  修
【評】体の不自由な妻を思う作者の気持ちが、具体的な描写の中に込められています。下句が働いているでしょう。
一、二、三と声張りあげるリハビリの窓に優しき冬の日射しは 三原市 豊原 國夫
【評】声を出しながら懸命にリハビリに励んでいる様子が伝わってきます。上句と下句の照応も作者の心さながらです。
わが一日の音を集めし補聴器を労わりはずす夜の卓上 庄原市 川崎冨士子
【評】補聴器を用いて日々の生活を送っている作者の、言い難い思いがにじみ出た作品です。第四句など印象的です。
廃校の跡の更地に小さき碑敷地寄付者の名前留めて 安芸郡府中町 石橋 康徳
【評】少子化に伴い幾つもの学校が廃校になっています。この作品で目を引くのは下句ですが、上句もいいです。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
梅を漬け辣韭漬けて幾十年主婦の本分と大甕洗う 呉市 古谷 明子
高原のキャンパスに立つシンボルの銀杏が水面に映える夕暮れ 庄原市 麻生多嘉子
「帰りたい」願い虚しく旅立ちぬ九十四年の母の人生 安芸高田市 藤井美智子
朝まだき墓への道を詫びながら草刈る今日は母の命日 広島市 中村  武
大雨に山の傾りの崩れたり月見草咲く清らなる崖 三原市 桝宗 範子
阿武山にひときわ大きく砂防ダム災害のあと夏の日に照る 広島市 山本 玲子
気のあった友の訃報の連絡網ひまわりの絵が最後の便り 広島市 岡田 郁枝
東京に嫁を残して農継げる息子あはれとその母こぼす 安芸郡海田町 光岡 詔子
泳げねど海はたのしく描かれをり障害の子の夏の絵日記 福山市 林 スミ子
父祖の山知りつくしたる夫と佇ち砂防現場を飽かず眺むる 広島市 大東 敬子
盆三日日頃の無沙汰お詫びして阿弥陀経をねんごろに読む 三次市 眞丸 利子
「ただいま」とマスクをとれば元気よく吾子は「りー」と両手を上げる 広島市 熊谷  純
遠き日の海に遊びし夏の日の塩ふく肌の匂いなつかし 三原市 村上 召三
マンションの七階に開く読書会尾道水道にうすき春霞 尾道市 島谷 文惠
微酔ひの大利根月夜唄ふ父偲びて我が弾く三味線しゃみの音響く 広島市 林 美恵子
スマホから幼の歌の響く中永久の眠りに夫は入りたり 広島市 田辺 操子
あの山を越えて下れば君の家うす紅の芙蓉すでに咲きいるや 世羅郡世羅町 高本 澄江
雨あがり静まりかえる境内に木漏れ日さして蝉鳴き出だす 呉市 中野亜紗子
焼き米の素朴な味に思い出す父の笑顔と棚田の景色 廿日市市 住川ふみえ
コロナ禍で時間はたっぷりあるけれど宿題一切手付かずのまま 呉市 幸城あずさ