朝な夕な試歩ひたすらの冬耐えて妻は果樹園の陽だまりに立つ
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尾道市
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仲尾 修
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【評】闘病の妻の病から立ち直ろうと努力している姿と、見守り支えている作者の慈愛に満ちた心情に心打たれる。
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腕なき身足一本を蹴りたてていきいき五〇米泳ぎきりたり
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広島市
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松村 常子
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【評】】パラリンピックでの水泳選手の躍動ある動きと、下の句の選手に対する作者の共感を表わす言い切りが小気味よい。
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【評】一句から三句までの奥深い霊を祀ってある境域と、下の句の今を生きている現世との対比に作者の思いが籠もる。
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合掌に並べしほだ木を割り出づる椎茸のつぼみの香りただよう
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尾道市
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橘和 政実
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椎茸栽培のほだ木の準備。その準備中椎茸のかさが開く前の蕾の香が漂う。臨場感溢れる表現が活きている。
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阿武山にひときわ大きく砂防ダム災害のあと夏の日に照る
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広島市
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山本 玲子
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【評】土石流により甚大な災害のあった阿武山麓。二句の表現に被害の大きさと、結句の表現に被害への痛みがにじむ。
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