けんみん文化祭ひろしま'20文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま'20文芸祭 文芸祭 入賞・入選作品発表 【短歌】堀内孝子 選

【短歌】堀内孝子 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
手のひらの血豆の数だけ近づいた夢みる舞台甲子園の夏 廿日市市立野坂中学校二年 越智  歩
【評】高校球児が夢見る甲子園。血豆の数だけ近づいたと具体的に表現されて、甲子園にかける熱意が伝わってくる。
山崩れ川が溢れて町を消しもう戻らない何万の命 廿日市市立野坂中学校二年 北川 律希
【評】台風、土砂崩れと毎年襲う災害。「町を消し」「戻らない何万の命」に現実の怖さと悲しさが感じられる。
感染症影響により中止です。本当は悔しい苦渋の決断 県立海田高等学校三年 佐々木智里
【評】今年はコロナウイルスで、学校行事がほとんど中止となった。楽しみにしていたのに悔しい気持ちが伝わってくる。
朝がおのつぼみができたうれしいなまだまださくよこころがはずむ 庄原市立比和小学校二年 光元杏香里
【評】毎日、観察していた朝顔からやっとつぼみが出てきた。うれしい気持ちとはずむ心が伝わり楽しい一首。
いつぶりか母と泣きあい笑いあい合否を決めた高校受験 県立広島国泰寺高等学校二年 山田 梓乃
【評】進路を決める大事な高校受験。発表の瞬間、お母さんと共に喜んだ感動の歌。感謝の気持ちと喜びがあふれている。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
追いかける我を置いて行く背中追いつけぬまま最後の大会 廿日市市立野坂中学校二年 戸田 結月
かくれんぼだれもみつけてくれないな気付けばぼくは一人ぼっち 福山市立駅家南中学校二年 鹿見 祥太
公式戦ネットを挟んで戦えば悔し涙汗と流れる 県立三原高等学校二年 藤岡李々彩
ふうりんがちりんちりんとうたってるかぜといっしょにダンスしている 庄原市立比和小学校一年 ア間 陽音
花びらが舞い散る桜の木の下で笑顔と涙の集合写真 庄原市立庄原中学校二年 明賀 心優
まっすぐにおこめの赤ちゃんならんでる田うえのあとのきれいなけしき 庄原市立東小学校二年 平田  芹
こぽこぽとまわる緑が泡の中今夜のおかずは祖母のそら豆 県立尾道北高等学校一年 新庄 にこ
なつかしむいま亡き祖父とちまなこに夜空の星座さがした記憶 県立三原高等学校一年 下田 浩輝
祖母からのあれもこれもの一言で行きより重い帰りの車 県立三原高等学校二年 落畑 瑠月
甲子園一塁側でまっすぐに君に届けと奏でる音色 県立尾道北高等学校一年 長光 真優
隣との間をあけて部活動やっぱり寂しい空白の距離 呉市立呉高等学校二年 木天 七星
友達がいいにおいねと言うけれど私じゃなくて金木犀だ 福山市立新市中央中学校二年 木村由依菜
志村けん急にいなくなりかなしいよみんなかなしいわすれないから 福山市立駅家南中学校二年 篠村 綾太
くしゃくしゃの新聞整えつつめくる扇風機ゆれ匂いたつ文字 県立賀茂高等学校二年 福馬 光葉
赤色できれいに染まる木々の葉が秋風吹きてもみじ舞いゆく 県立尾道北高等学校一年 中川 瑠菜
こんだんの明るい空気をおしのけて伝えられるはテストの結果 福山市立福山中学校二年 橋本  凌
千羽鶴平和の願い届けたい差別をなくし笑顔で生きる 福山市立鷹取中学校二年 前田 晃希
平和への思い新たに祈り込め原爆の日に流る灯籠 県立尾道北高等学校一年 宇根 志保
もう一度中三の春戻れるのならみんなでしたい卒業式 県立広島国泰寺高等学校一年 森山 結奈
木の下で赤いはっぱとあそんでるみんなの頭にはっぱがぽつん 庄原市立高野小学校二年 萩原  葵

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
「ヒロシマ」と呼ばれ広島に生き続け、ヒロシマをはず母は逝きけり 広島市 小野 系子
【評】ヒロシマを最後まで語らなかったお母様。一人で耐えてこられたお母様への思いと切なさが伝わってくる。
亡き姉と語らう夢を告げやれば笑顔でいたかと母はたずねつ 広島市 藤井 良子
【評】お姉さんが亡くなられた事を忘れてしまったお母様。笑顔でいたかに胸がつまる思いがする。
ボランティアで紙の医療ガウン縫う袖山のひだ多くよせつつ 呉市 古谷 明子
【評】コロナウイルスでマスク、ガウンが不足した医療現場。紙のガウンを作る作者の思いが込められている。
幾年を語り部として生きし母原爆ドームに面影の 広島市 櫛  詠水
【評】何年も語り部として生きてこられたお母様。やるせない気持ちと、平和への願いが込められている。
癌予後のベッドにメモる献立を妻よりもらひ主夫となりゆく 福山市 浜田 光夫
【評】癌の治療をされる奥様に代わって、食事を作られる作者。回復を願う気持ちと愛情が伝わってくる。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
住む人の絶えし故郷に響かする妻の横笛途切れ途切れに 広島市 中村  武
九十二年を気丈に生きた母なれど骨はもろくて箸に崩れる 広島市 長尾 裕子
うす紅のコスモスのやうひらひらと少女二人の手話は舞ひたり 福山市 林 スミ子
手遅れのステージ四に泣いた友二ヶ月後には電話が切れる 江田島市 住田 照水
あかね空ねじ花たおり握りしめ幼児となりし母と歩めり 庄原市 奥井 久子
衝立とフェイスシールドに阻まれて顔もおぼろな医師にもの言う 福山市 若林美知恵
バラックの小屋を見つめるおかっぱの子は母となり平和を祈る 広島市 山田 雅子
焼けただれガラス片刺す父の背に赤チン塗られ無念に逝きぬ 広島市 西田 裕子
今生の別れとならん病室に桜持ちきしやさしき娘 福山市 木坂 清子
死没者の数のうちより呼び出せり祈念館にただひとりの名をうつ 安芸郡海田町 上條 節子
幼児の得意げ満面ひとり立ち明日に一歩宇宙に一歩 福山市 あべこうぞう
われひとりの七十五回忌軍服の父と無言の会話続ける 尾道市 仲尾  修
終戦のひもじい七才食卓ちゃぶだいの記憶に残る土筆の苦み 広島市 野島 桂子
明日から面会禁止コロナ禍に入院の姉握る手強し 竹原市 入駒 智子
接触をさけて会えない孫達とやっと逢えたりオンライン会話 庄原市 安川 博子
手に受けて興味しんしん園児らは嬉嬉と植田へあい鴨放つ 庄原市 永宗 敏昭
車椅子はいがいに難し猫のごと片手で顔を撫であらいたり 庄原市 寺迫 隆子
生命いのちつなぐ輸液のしづくきらめくを現実うつつにもどる視野に収めつ 広島市 井上 宝護
8・6を想えば哀し焼け野原リトルボーイという名忘れじ 広島市 吉川 徳子
水仙の匂う仏間の障子開けマスクのままに父の五十回忌 広島市 大東 敬子