けんみん文化祭ひろしま'19文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま'19文芸祭 文芸祭 入賞・入選作品発表 【川柳】小松 好子 選

【川柳】題「ページ」 小松 好子 選


※コンピューター環境で表示するため横書き表記としています。ご了承ください。

【特選】

作品 地域 お名前
限りあるページがするすると過ぎる 尾道市 新川 政子
【評】躍動された若き日に対比し、平穏なくらしの日々。諦観された境地をするすると詠い上げた品格のある一句。
練って練って男の色にするページ 三原市 笹重 耕三
【評】熟練熟慮を重ねられた男の人生、そして逞しき漢(おとこ)の領域を築き上げられたのであろう。迫力に魅了された作品。
ページ繰る思い出を繰る悲哀繰る 山県郡北広島町 堀内 けん
【評】忙中閑、ふと過ぎ去った歳月を憶う。繰るのリフレインによって、情感が一段と増幅され、説得力ある作品。
落丁にして葬る諍いのページ 広島市 高東八千代
【評】一度体感した心傷はなかなか癒えない。積年のおもいを祈りを込めて葬り去られた由。格調高い一行詩。
赤面のページ青春ど真ん中 福山市 村田 幸夫
【評】想像力を掻き立てられる赤面のページ。もう一度青春に引き戻される。清々しい読後感に浸る作品。

【入選】

作品 地域 お名前
ページ繰る癖はさまざま書を愛す 東広島市 平井けいこ
またここで挫折純文学の壁 安芸郡府中町 山本 恵子
生真面目なページ死ぬこと生きること 広島市 荷堂てる子
明日に期す過去のページはめくらない 広島市 正山 史明
押し花が読まぬ詩集を厚くする 福山市 小土井珠生
悟り切れぬページを開く何度でも 廿日市市 山本くみ子
空っぽになるまで泣いてページ裂く 広島市 常國 喜好
昭和史を繰れば戦という汚点 三原市 大森 昭恵
一行で今日のページを締めくくる 広島市 瀬戸れい子
人生の残りのページ神に問う 三次市 伊藤 寿子
産声をあげて未来へ一ページ 尾道市 小川 道子
子育てのページだ文字も走ってる 広島市 川上 咲良
人生百年残るページに描く夢 広島市 若山 宗彦
雨音が記憶のページめくりだす 三原市 橋 博郁
平穏な日々で埋まらぬ一頁 広島市 津村 明正
生き下手を晒すページも愛しいね 府中市 岸田  武
感じ入るページわたしの処方箋 広島市 西村スミエ
老いの血が騒ぐ令和の一ページ 大竹市
真白なノートにしるす一ページ 大竹市 越智志な子