けんみん文化祭ひろしま’19文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま'19 文芸祭 入賞・入選作品発表 【俳句】川崎益太郎 選

【俳句】川崎益太郎 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
新米が私の口で暴れてる 県立尾道北高等学校一年 西本彩絵子
【評】新米のおいしさを詠んだ句は多いが、〈暴れてる〉と表現が斬新。食べられる米から見た新しい視点の句。
あしたやるかける四十夏おわる 坂町立横浜小学校六年 兒島 真一
【評】夏休みの宿題に対し、不平不満等を詠まないで、あしたやるを四十回言って夏休みが終ると、面白く表現した句。
まだ明けぬ塗装を阻む梅雨の空 呉工業高等専門学校二年 武居 一真
【評】なかなか梅雨明けしないことを、梅雨の空が、青色で塗装されることを拒んでいるからと、面白い視点で捉えた。
下校中風をかなでるふうりんだ 大竹市立大竹小学校六年 森本 駿斗
【評】風で風鈴が音を奏でる、という句は多いが、風鈴が、風を奏でるという逆の視点で、風鈴を際立たせた句。
オクラ切る皿いっぱいにお星さま 東広島市立乃美尾小学校四年 場田彩心
【評】オクラを切ると星形になる。それを皿いっぱいに並べると星空(星月夜)になると、その感性に感心した。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
成長を先祖に見せる墓参り 広島大学附属三原中学校二年 向井 和望
くりめしでくりが少なく数えたよ 大竹市立大竹小学校四年 小田 陸斗
茄子の馬祖母と曽孫を繋ぐ橋 県立三原高等学校二年 飯田みのり
つくし伸びニョキッとのぞく新元号 尾道市立吉和小学校六年 梶原 悠夢
刹那的君も花火もこの夜も 福山市立中央中学校三年 正野 由実
思い出と心をのせたシャボン玉 福山市立精華中学校一年 渡辺 真生
会話する「君も一人か」壁の蝉 呉工業高等専門学校一年 藤田 唯平
思い出と金魚を一緒にすくいたい 東広島市立乃美尾小学校五年 小島 海音
蚊の餌食所詮は人も食べ物か 福山市立福山中学校三年 橋 匠真
蝉嫌いけれども好きな蝉時雨 県立尾道北高等学校一年 森川 愛依
すいかわり右へ左へおっとっと 大竹市立大竹小学校五年 小川 翔太
ソーダ水ときめく初恋はじけだす 大竹市立玖波中学校三年 伊藤  麗
明と暗隠れる月の二面性 県立尾道北高等学校一年 佐藤 優樹
入道雲海にうかぶ戦かんだ 大竹市立大竹小学校六年 階川ふうな
クーラーが休ませてよとすねました 廿日市市立宮園小学校六年 中本 一穂
綱引きでえものみたいに引きずられ 尾道市立吉和小学校六年 島谷 海里
赤信号日陰に逃げる待ち時間 呉市立宮原中学校二年 井上 結惟
初夢は富士なんかより好きな子で 福山市立松永中学校三年 柳田 悠人
あまがえるゲロゲロゲロゲロゲロゲロ 広島市立江波中学校三年 増田 悠翔
夏休みプリント白紙体黒 廿日市市立金剛寺小学校六年 中川佳奈映

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
流星にぽけつと一つ空けておく 広島市 植木すみ子
【評】流星のためにポケットを空けておくという作者。あってもいいなと感じさせるファンタジーに感心した。
原爆忌朝塾へ行く子らのゐて 広島市 樫原 葉子
【評】七十四年前のあの日の朝、子らは被爆し死傷した。今の子は、朝から塾に行っている。この平和が続いてほしい。
回天の鎮魂海の日の挽歌 福山市 杉原 芳子
【評】海の日に、人間魚雷として海に散った若者に寄せる思いと、平和に対する思いが、ひしひしと感じられる。
恋猫が立ち去る今が隠居かな 三次市 澤田 明江
【評】恋猫も目をくれなくなった今が、隠居の時期と悟った作者。恋猫を擬人化したまさに諧謔の自虐の句。
紅小萩いくつこぼせば恋成就 福山市 北村芙紗子
【評】萩はこぼれるように散るところに風情があると言われている。切ない乙女心が読める句。季語の紅小萩も可愛い。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
優曇華のたれさがりゐる二分音符 福山市 山口あぢさゐ
島の家住所はイロハ青葉風 福山市 林 万理子
鈍行の銀河鉄道ジャガの花 東広島市 三ノ京由香
静けさや台風の目にゐるらしき 広島市 池田 萩邨
人ときにうしろを忘れ風の秋 広島市 加藤 眞吾
制服の踏み出す一歩新松子 広島市 天野  泰
田植機ゆく水面に映る空壊し 広島市 隅岡芙美子
空蝉や大役終へて帰る土 福山市 ま う す
4Bの芯のまろやか秋に入る 広島市 星加 鷹彦
鳴けぬ間に命尽きたる蝉のあり 三次市 山本 圭子
蓮根掘「昼にするか」と黙を解く 安芸郡府中町 石橋 康徳
律義なる谺を返し山眠る 尾道市 向井喜美子
鳴き終へし骸一つに蟻の列 呉市 合田 淳子
ほたる舞ふ吾が故里は深き闇 呉市 八條 順子
拗ねる子の砂で埋める蟻地獄 福山市 肥後 弘子
たずたずし一滴さえも広島忌 福山市 藤井 茂基
秋天へ首伸したる亀の鬱 福山市 山本 昭夫
善人のマスクが重い日暮れかな 広島市 津村 明正
手をつなぐ親が子に似る半夏生 広島市 熊谷  純
古扇より北斎の浪しぶき 広島市 村本クニ子