【評】保存してある被爆校舎の壁の伝言を読み、当時の悲惨な状況を思い浮かべている作者の心情が伝わってくる。
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今少し生きて五輪を観んというリハビリに励む卒寿の夫は
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広島市
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田原 正子
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【評】昭和三十九年の五輪の時壮年の夫、日本の復興に貢献した世代でもある。五輪に一入の思いのある姿が浮かぶ。
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【評】華やかな少年の夢が土石により潰えると淡淡と詠み、豪雨禍の被災地の惨状と悲劇を甦らせる巧みな作である。
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【評】後継者が無く店を畳まれるのだろうか。リズムのよい一首で悲壮感がなく、遣り遂げた思いを感じる。
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朝のバス誰が開けたか缶コーヒー車内に広がる香は南米か
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呉市
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本 和惠
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【評】始発地から間が無く、乗客の疎らなバス車内、コーヒー通の作者の産地を考えつつ満更嫌でもない様子が窺える。
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