けんみん文化祭ひろしま'17文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま'17文芸祭 文芸祭 入賞・入選作品発表 【短歌】宮本君子 選

【短歌】宮本君子 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
先輩と呼ばれているのが自分だと気づかず無視した先輩初日 福山市立福山中学校二年 大本 琴子
【評】上級生になった初日。部活の下級生から「先輩!」と呼ばれても自分とは気付かなかった作者。ほほえましく、改めて先輩という覚悟を持ったことだろう。
お父さんみんなからヤンキーと言われるが本当はやさしいすしやさん 尾道市立向東小学校四年 大谷 一佑
【評】たぶん若いお父さんなのだろう。人からヤンキーみたいなどと言われることもあるが、美味しいお寿司を上手につくる自慢のお父さんだ。
今日も使うちびたえんぴつあいつから貰った誕プレあと4センチ 県立府中高等学校二年 西田 凌一
【評】誕プレは、誕生日プレゼントを略した若者言葉。「あいつ」から貰った鉛筆が嬉しく、短くなっても大切に使う作者。
溶岩の灼熱色に照らされて何を感じた終の恐竜 広島市立伴中学校二年 三登 成珠
【評】絶滅した恐竜。火山の噴火、隕石衝突など原因は様々言われているが、その終焉の際の恐竜に思いをはせる作者だ。
新緑の若葉にそまる山々に朝日のぼりて輝く校舎 東広島市立河内西小学校六年 石川 花音
【評】若葉の萌える四囲の山々。朝日に新緑が映え校舎も輝いて見える。新学期、希望に燃える作者の内面が作品から伝わってくる。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
勉強が終わって教室飛び出してグラウンドにひびく俺たちの声 庄原市立庄原中学校二年 道下 黎哉
放課後に耳にはいったフルートは追いかけたくなる先輩の音 福山市立福山中学校二年 河原 百花
真実を見すかす言葉なげかけて胸張れること言いたいな今 広島市立大州中学校二年 渡辺 千景
悔しさで応援の声うすれてくとられてしまったサービスエース 福山市立福山中学校二年 大城あかね
おりづるにこめた思いは未来にもみんなのえ顔がありますように 庄原市立東小学校四年 石出 心羽
甲子園いつか行くぞと夢にみたその場所でいま白熱投球 県立総合技術高等学校二年 山根 奈桜
暑い中いつもアイロンありがとうしわ一つない私のブラウス 福山市立福山中学校二年 澤田夏菜子
電車内混み合う中でふと見れば一人つき出る僕の身長 福山市立福山中学校二年 山根康太郎
吾妻山ちょう上に着きさけぶんだイザナミノミコトになった気分だ 庄原市立比和小学校五年 田川 瑠那
一学期プリントファイルぱんぱんだ四月からずっとがんばったんだ 庄原市立比和小学校五年 長谷川舞姫
カブトガニカニといっしょにしてあげる思ったとおりなかよくしてる 庄原市立比和小学校三年 杠 航太朗
きつくなり着れなくなった制服に入学の頃思い出される 広島大学附属三原中学校二年 千葉 亘記
気がつけばいつも見ていた後ろ姿彼が振り向くふと目をそらす 府中町立府中中学校二年 武田彗美流
あせだくだコンバインの上の父の背は黄金の波にすいこまれていく 三次市立作木小学校六年 守岡 大翔
夏の海空と波間のあざやかさ水平線に見える光線 銀河学院中学校一年 山岡 丈泰
朝練の疲れが残る授業中睡魔に負けず気を引き締める 県立総合技術高等学校一年 大ア 有矢
梅雨の時季雨降った後一滴ねつぎつぎと落ちゆれるささの葉 呉市立広中央中学校三年 白井 海斗
夕暮の浜辺に来れば海の上そっくり映る二つ目の陽 県立三原高等学校一年 寺田 遼馬
夏休みたくさんなったミニトマトぜんぶ食べたらかなしくなった 庄原市立東小学校四年 森松 愛琳
あめあがりきれいなにじがでているよむこうのやまとやまをつないで 庄原市立粟田小学校一年 藤本 千早

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
減反の田に咲き揃ふ蕎麦の花七十町歩白き波うねる 庄原市 家島 晶子
【評】減反対策として集落全体で、蕎麦の栽培をしているのだろう。白い蕎麦の花が咲き揃い、風になびく様子が美しく描き出され、農の力強さがうかがえる。
処分する新婚時代の家計簿に汲み取り代ありしばらく見入る 広島市 相原 由美
【評】身の回りの整理を始めた作者。丁寧に日々付けた家計簿。昔はどこも汲み取り式トイレだった。その頃を偲びつつ見入る家計簿だ。
ヒゴタイの咲く学校に児童の声と熊鈴の戻る二学期の朝 庄原市 古家八千代
【評】ヒゴタイは以前は盆花として県北、山間部に群れ咲いていたが今は希少だ。二学期が始まると児童たちが熊鈴をつけにぎやかに登校してくる。
実習に不治の病の看取りせり言葉なくして手を握り合う 呉市 川ア 三芳
【評】看護又は介護の現場。不治と知りつつの実習にせつなく、患者と手を握りあう作者。仕事のきびしさを実感しつつも使命感をはぐくむ作者だ。
朝涼あさすずに胡瓜トマトを見まわりぬ芽掻き摘芯追いつかねども 広島市 兼池 隆子
【評】夏の朝のすがすがしさに畑を見回る作者。芽掻きや摘芯が追いつかぬ程、どんどんのびてゆく胡瓜やトマト。生きがいの畑仕事だ。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
玉敷の都大路を疾駆する韋駄天世羅のおみなとおのこ 三原市 上村 純治
0になる関係性は僕たちの終わりと同時に始まりであれ 広島市 谷本 和美
図書館の窓という窓青葉萌えいまも難解「善の研究」 広島市 出口 政春
「黄身しぐれ」父母の好みし銘菓なり菜の花の風匂いたちくる 広島市 山本 玲子
雪降れる午後のリビングレオナール・フジタの猫は遠き目をして 広島市 実光 優華
逢えずともはなせる頭で居たいねと少くなりし友と電話す 広島市 西田 裕子
わが里の紅葉もみじ日毎に深まりて心せわしく大根洗う 東広島市 後藤 和子
蕗の葉に盛られた花と泥団子幼の呉れた今日の御馳走 神石郡神石高原町 馬屋原 要
まだ明けぬ早朝散歩雪道に一足早く狐足跡 三次市 日野タカ子
六人の子等それぞれに成長の片鱗見せてゆく夏休み 広島市 坂井 敏子
年毎に仲間増やして鬼灯の熟れたる庭や朝日に光る 広島市 松本壽賀子
喜寿・傘寿・米寿を生きて卒寿半ば絵を描き短歌うた詠み白寿めざさむ 福山市 箱田 愛子
終活をぽつりぽつりと語り合う日向ぼっこの秋の縁側 三原市 豊原 国夫
お別れのキスするごとく唇をすぼめ朝顔ひと日終えたり 尾道市 新川 政子
向日葵の迷路に子らは入り込みこっちあっちと駆ける靴音 呉市 天野 弘士
眉を引き口紅つけていざ出陣八十路の春は今日から始まる 庄原市 橘  京子
二十年広響を率ゐし君にして「英雄の生涯」を指揮して去りぬ 三原市 古屋敷和也
真白なる晒を切りて真夜を待ち夫を納める骨袋縫う 世羅郡世羅町 高本 澄江
秋の日に眠るがごとく友は逝く形見となりし手縫いのエプロン 庄原市 鳥井 幸惠
やり直しきかざる齢のさびしさに日を背に負ひて草を抜きをり 安芸郡海田町 光岡 詔子