けんみん文化祭ひろしま'17文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま'17文芸祭 文芸祭 入賞・入選作品発表 【短歌】香川哲三 選

【短歌】香川哲三 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
サーブからくりだす攻撃ラケットに一撃一撃心をこめて 広島市立伴中学校二年 片山  空
【評】動作を述べた上句、意気込みを綴った下句、ともに言葉に力があって、攻撃する作者の姿が髣髴とする作品だ。
風鈴の音鳴り響く夏の夜やさしい風が僕らを包む 銀河学院高等学校一年 村 洸希
【評】強く捉えた一・二句が夏の夜の静けさを伝えている。続く言葉に作者の心情が重ねられていて豊かな詩情がある。
時がたちうすれる記憶呼び起す八月六日平和のしるし 県立総合技術高等学校三年 牧山  淳
【評】八月六日は広島にとって、忘れてはならない特別な日。世代が移りゆく中、こうした作品の大切さを痛感する。
友と行く夜の祭りに浮かびくる屋台の光と打ち上げ花火 広島市立伴中学校二年 三登 香苗
【評】夏祭りの夜の光景が自然に、しかも美しく表されている。単純化した下句が、くっきりとした読後感を与えている
ゆかたきてさいごのいっぽんじっとまつパチパチひかるせんこうはなび 三次市立作木小学校二年 峠  愛瑠
【評】上の句と下の句が気持ちよく響き合っており、線香花火を楽しむ夏の夜のひと時がいきいきと伝わってくる。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
新緑の若葉にそまる山々に朝日のぼりて輝く校舎 東広島市立河内西小学校六年 石川 花音
夏祭りやぐら太鼓を叩く人飛びかう汗が光り輝く 県立総合技術高等学校三年 桑木 遥大
風りんがかすかな音をひびかせて風のやさしさ教えてくれる 尾道市立向東小学校六年 神原明日花
見つめるはあの日と変わらぬ夏の空入道雲が徐々に遠のく 県立三原高等学校一年 北方 智己
気づいてた私の心苦しいの母の笑顔にあふれる涙 三次市立塩町中学校一年 有田 涼寧
耳すませ友の足音待っているオレンジ色の静かな廊下 県立世羅高等学校三年 内海 佑希
学校が離れた貴方と過ごす夜二人で灯す線香花火 県立三原高等学校一年 永井 亜依
お母さんお父さんたちが大げんかしなくていいよおねがいだから 尾道市立向東小学校四年 魚川  颯
思い出の夏を彩るかきごおり二人歩いた花火大会 府中町立府中中学校二年 川口 葵子
なつやすみくわがたさがしによるのみちちょっとこわいなでもいくぞ 庄原市立東小学校二年 松尾怜衣紗
大舞台金賞とるため努力する変わらぬ夏と新たな仲間 県立総合技術高等学校一年 岡野 陽美
盆灯籠ともして光ほのかなり誘われ来るは亡きあの人か 呉青山高等学校二年 竹田ひかり
平和の輪世代を越えて語り継ぐ忘れられない八月六日 山陽女学園中等部一年 鈴木みづき
実家から毎週届く夏野菜まがったキュウリに祖父母を想う 県立三原高等学校二年 浜田 颯介
ひよ鳥の声をはげみに今日もまた足どり軽くペダルこぐ朝 福山市立福山中学校二年 牧本 有珠
あめあがりきれいなにじがでているよむこうのやまとやまをつないで 庄原市立粟田小学校一年 藤本 千早
夢目指しつらさに耐えて日々過ごしあなたに贈るアイリスの花 銀河学院高等学校三年 朝倉 菜純
悲しさがこみあげあふれるこの景色これが最期の家族旅行 府中町立府中中学校二年 杉本 敬太
一面が黄色に染まる丘の上太陽あびるひまわり畑 県立総合技術高等学校三年 寳壽 奏衣
夏野菜離れて暮らす兄のもと荷物を送る祖母の優しさ 県立総合技術高等学校一年 宮本 伊織

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
青じその花のさやかに匂いたつ二人の静かな朝餉の卓に 三原市 岡村 光里
【評】睦まじく日々を送る二人の姿が髣髴とする作品。上句が爽やかで、続く下句も自然な表現の中に味わいがある。
実習に不治の病の看取りせり言葉なくして手を握り合う 呉市 川ア 三芳
【評】看護実習における切実な体験が詠じられていて胸が打たれる。誠実な作者の人柄と真心が作品の芯を成している。
ふるさとの母を看病に降り立ちぬま白き冬の千歳空港 尾道市 島谷 文惠
【評】母を看病するため、故郷の空港に降り立った作者の思いがしみじみと伝わってくる。下句に深い詠嘆がある。
元朝を産土うぶすな神社に参詣すこの境内より父は征きたり 三次市 岡崎 明治
【評】父が出征したのは、産土神社の境内であったという事実が重い。参詣する作者の感慨もそこに表れているだろう。
三日月の傾むく川に棹さして若き鵜匠は手綱を捌く 三次市 林  敏明
【評】鵜飼の様子が手にとるように伝わってくる。第一・二句が働いており、夜の清らかな空気、静けさが表れている。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
日射受け雪の落ちたる木守柿紅く輝き青天に映ゆ 三原市 山重 富子
わが里の紅葉もみじ日毎に深まりて心せわしく大根洗う 東広島市 後藤 和子
気が付けばビル林立の街となりピカに焼かれし頃の目に浮く 広島市 吉川 徳子
真白なる晒を切りて真夜を待ち夫を納める骨袋縫う 世羅郡世羅町 高本 澄江
西王母乙女椿に侘介と花咲きつぎて春は来にけり 広島市 友谷しま子
やり直しきかざる齢のさびしさに日を背に負ひて草を抜きをり 安芸郡海田町 光岡 詔子
農業に定年なしと誇り持ち九十才にて田圃見廻る 庄原市 河面 道男
二十年広響率ゐし君にして「英雄の生涯」を指揮して去りぬ 三原市 古屋敷和也
癌病みて一時帰宅のいとし夫柿の新緑見上げていたり 安芸高田市 野川 艶子
減反の田に咲き揃ふ蕎麦の花七十町歩白き波うねる 庄原市 家島 晶子
いくさ日のひもじき日々を思いおりいただきますと手を合わすとき 安芸高田市 土居 昭子
歳末の街にまぎれつつたださびし君は五月に逝きいしと知りて 尾道市 仲尾  修
母逝きて更地となりし里の家あの辺りかと居間を指差す 広島市 大江 達美
母の日に墓前で歌う「夏は来ぬ」母に供える卯の花白し 広島市 石丸 一司
ふるさとの歌を歌えば目に浮かぶ福島の家荒れて草生す 広島市 前田 正夫
処分する新婚時代の家計簿に汲み取り代ありしばらく見入る 広島市 相原 由美
ゆるぎなく世界の核の廃絶を訴ふる老いし被爆者の声 三原市 村上佐登子
朝顔の花の季節も何時か過ぎ種持つ蔓の垣根のぼれる 三次市 松田 一枝
秋の日に眠るがごとく友は逝く形見となりし手縫いのエプロン 庄原市 鳥井 幸惠
実習の赤子抱きて思い出す吾子の愛しさ喜びの日々 呉市 河内 知子