けんみん文化祭ひろしま’15文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま’15文芸祭 文芸祭 入賞・入選作品発表 【短歌】光岡詔子 選

【短歌】光岡詔子 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
クロールの折り返すとき地球ごとわたしを軸にぐるんと回る 県立広島高等学校三年 青山ゆりえ
【評】折り返すときの一瞬の動きを見事に捉えてスケールの大きな歌となった。異界を感じさせられておもしろい。
槍投げの槍より先に我がこころ届けとばかり力を込める 清水ヶ丘高等学校二年 山ア 怜那
【評】槍より先にわが心届け、に気持がよく現われている。素直な表現のなかにも緊張感が伝わってくる。
折り鶴を十二年間折り続け鶴を折るのが一番得意 県立総合技術高等学校三年 長見 朱莉
【評】折り鶴のひとつひとつに平和の願いを込めて折ったであろう、十二年間もの長い間、やさしい心大切に育てて欲しい。
この夏に数学物理頑張って絶対行くぞ山口大学 県立忠海高等学校三年 西原 圭亮
【評】思いをストレートに述べて爽快。まばゆいほどの頼もしいパワーだ。よい結果が得られることを祈っている。
きつかった品出し掃除きつかったけどいい気分「セブンイレブン」 府中町立府中中学校二年 庄司 晴晶
【評】きつかった、のリフレインが効いている。四句の言葉にほっとする。リズム感があって良い。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
「ありがとう」言われて返却お客さん本も私もうれしくなるよ 府中町立府中中学校二年 山田 千遥
盆休み久しぶりだな祖母の家また近づいた頭と天井 県立総合技術高等学校一年 本岡 慶一
見上げると空もじーっと見返すよまるで心を見透すように 広島大学附属三原中学校二年 福本 夏那
許可なしで俺の腕の血を吸ってお礼もなしで飛んでいくやつ 呉市立呉高等学校一年 新田 旬希
農作業「よいしょ」の声がよく聞こえ想像よりも力仕事だ 府中町立府中中学校二年 ホーソン琉玖
そよ風に田んぼの苗がゆれている苗のダンスださわさわさわさわ 庄原市立粟田小学校三年 若林 咲来
「お姉ちゃんみたいな人になりたい」と別れの言葉涙があふれた 府中町立府中中学校二年 渡辺恵莉子
夏の朝部活に向かう自転車で肌にはりつく白いYシャツ 県立総合技術高等学校二年 吉川 綾音
大好きな君が隣にいるだけで白い世界が虹色になる 大竹市立玖波中学校二年 大江 春花
妹はスーパーヒーロー人よりも声が大きく元気いっぱい 三原市立木原小学校六年 河野 桃果
窓の外夕焼けに染まるもみじ葉は額縁の中で揺れる絵のよう 呉市立呉高等学校一年 臼井  桜
夜の海つり糸たらして魚待つググッとぼくら引っぱりあいこ 三次市立布野小学校四年 宮重 聖樹
今日こそは目標かかげ本気だすティーシャツの袖肩までめくる 県立因島高等学校一年 村上 京香
青い海オレンジ色に照らされて友と語るこれからのこと 県立因島高等学校一年 角谷 優香
ばあちゃんが汗かき水やり実らせたはちきれそうな茄子の紫 清水ヶ丘高等学校一年 古本みのる
暗闇で必死に必死に生きている蛍のように輝けたらな 広島大学附属三原中学校一年 重政 歩美
まっかっかあまいすいかができましたさんかくにきっていただきます 庄原市立東小学校一年 東 ゆり
毎日の汗と涙を糧にしてうまくなりたい誰よりずっと 県立総合技術高等学校三年 上本 菜々
子ども達おれに抱きつきキスしたよかわいらしさにビックリ仰天 府中町立府中中学校二年 濱脇  蓮
スタジアムカープの選手とあく手したパワーを感じる大きな手のひら 東広島市立小谷小学校六年 隅田 大輝

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
ピースして写って良いかと児童等が原爆ドームを背にして問える 広島市 矢田 直美
【評】ピースは平和の表現である。被爆地を訪れて本当の恐さを知ったからこそ出た言葉、純真な児童の心にひかれる。
川沿いにひっそりと立つ原爆碑片手で祈るジョギングコース 広島市 三谷 俊明
【評】ジョギングコースの途上にある原爆碑に走りながらも心を寄せる。四、五句の表現により作者の姿が見えてくる。
雪の夜君の心に触れたくて真っ赤なコートの袖口つかんだ 広島市 稲葉あきこ
【評】雪の白、真赤なコートが鮮明に見えてくる。結句、口語調で表現したことにより若々しく印象的な歌となった。
居なくてももう大丈夫と母は言い九十六年の一世終えたり 尾道市 橘和 淑子
【評】きびしい時代を気丈に生きぬいた女性の一世、凛とした佇まいが感じられ、回りに居た人達のことをも想像する。
手のひらに揃えてのれるやわき足駆けめぐれ子よ二十一世紀を 広島市 田中 睦子
【評】生の誕生を喜び二十一世紀を子に託す気持が大らかに詠われ、慈愛に満ちている。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
一日を振り返りつつ飲む酒の肴はみぶ菜と鮎の甘露煮 安芸高田市 藤井美智子
いつとなく母となりにき母の日に夫より赤き箸おくらるる 広島市 藤井 良子
彼女よりのせた事なき息の車にどっかり座して結納運ぶ 廿日市市 吉田 信英
水無月の峡吹く風は言霊か短歌歴六十年母の納骨 呉市 古谷 明子
深緑に包まれおわす師の歌碑をくりかえし読む表も裏も 庄原市 山本 照子
七十年熱線残す人影はあの日の命今も語りぬ 広島市 田村 陽子
ひきこもる君を誘いて耕しし畑に大きカボチャが五つ 広島市 岡田 壽子
千万の心音秘めし聴診器君に残され机上にねむる 広島市 清水 道子
休日に亡夫のパジャマでリビングに現われし子に一瞬戸惑う 広島市 長尾 裕子
猪の被害対策年中の米代金をすべてあてがう 三次市 眞丸 利子
美容室のシャンプー台に目をつむり旅の鞄の中味を復習う 広島市 多賀 和子
解禁に合わせ投網を繕いて待ちいし亡夫よ夏が又来る 庄原市 川崎冨士子
母の兄よアナタひとりを待ちつづけ七十回目の慰霊碑に立つ 広島市 浜井 尚子
セーターを解いては編みまたほどく手繰り寄せてる母との記憶 広島市 川上 咲良
削るたび森のかおりを楽しみて言葉つむぎて3B走る 三次市 寄宗 照子
恥じらいか子の心音かゆあゆあと授乳の人のピアス輝く 広島市 岩本 幸久
夫と子の大きな靴が玄関にデンと在ります事が幸せ 福山市 石崎 勝子
連れ添うて何時の間にやら五十年サザエのように小さな家で 広島市 玉本祈世夫
子と嫁に励まされつつ登り来て弥山の山で祝う傘寿を 三原市 岡本 清子
番号のようやく点り着ぶくれて駄菓子のごとく薬受け取る 庄原市 永宗 敏昭