けんみん文化祭ひろしま’15文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま’15文芸祭 文芸祭 入賞・入選作品発表 【俳句】木村里風子 選

【俳句】木村里風子 選


※コンピューター環境で表示するため横書き表記としています。ご了承ください。

小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
鞦韆をはなす刹那にとまる街 県立広島高等学校二年 竹村美乃里
【評】ぶらんこに揺られていると自分より街が揺れているようだ。下りた一瞬は街が止まった感じ。感覚的で珍しい句。
茄子の牛ゆっくり帰るおばあちゃん 清水ヶ丘高等学校一年 鈴木 咲恵
【評】盆の最後の日。魂送りで茄子で作った牛に乗り黄泉へ帰る祖母。急ぐこともない、ゆっくりと、祖母への思い。
げんかんをあけたしゅんかんせみの声 比治山女子中学校二年 西村 凜香
【評】日常生活のなか、玄関を開けたとたんに聞こえた蝉の声、その通りだが、詩情がないと捉えられないであろう。
くもの巣にしずくがたくさんつかまった 神石高原町立豊松小学校六年 樋上 愛唯
【評】美意識の強さがある。くもの巣にかかっている露か、雨か、かかると言わないで、かかったという感受性のよさ。
かたつむりお家を持ってどこ行くの 神石高原町立豊松小学校四年 杉迫 勇希
【評】子供の好奇心の目。かたつむりが殻を負っていて動く、殻を家と思った。だがどこへ行く。これが子供の目。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
母の日におてがみあげたようれしそう 廿日市市立宮園小学校二年 萬度 結葉
ホタルはねきらきらかがやく星みたい 廿日市市立宮園小学校三年 桐本 実侑
星たちが泳いであそぶ天の川 東広島市立小谷小学校三年 井野元晃弘
夏休みおばあちゃんちまで一人旅 大崎上島町立東野小学校五年 金本まいこ
瞳をとじる風鈴の音聞きながら 呉市立広中央中学校三年 加藤 伶子
月明かりたよりに歩く夜の道 福山市立城北中学校二年 森島 更紗
夏休み旅行に行かず墓参り 広島大学附属三原中学校一年 勝村穂乃花
風鈴が風に吹かれて踊り出す 庄原市立庄原中学校三年 中村 来夢
雲の峰この坂上れば届きそう 呉市立仁方中学校三年 梶本 智夏
引退のグランド広し夏は過ぎ 清水ヶ丘高等学校二年 福井 優来
卒業しまた歩き出す夢の道 呉市立呉高等学校一年 山根 里桜
水平線海と空とがこんにちは 比治山女子中学校三年 三宅 優羽
母嬉しバケツを満たす梅の実よ 県立賀茂高等学校二年 山本 彩菜
待つたびに秋に近づく駅舎かな 県立広島高等学校二年 曽我部 栞
練習着汗かきすぎて数足りず 銀河学院高等学校二年 小林 里緒
帰り道水からのぞく雨蛙 呉市立呉高等学校二年 隈元 麻那
戸を引いて吹き込む落ち葉とただいま 呉市立呉高等学校二年 小野 優太
ばあちゃんの畑に集う赤とんぼ 清水ヶ丘高等学校一年 村上紗梨菜

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
日曜は絵本の時間小鳥くる 広島市 吉岡 雅文
【評】親子最良の日は日曜日。普段は勤めに出て朝夕だけが子供との時間。子供と過せるのである。明るさは季語効果。
北の冬打ち捨てられし墓石かな 広島市 三谷 俊明
【評】先ず、北方四島を想像させる、また樺太か。敗戦により、先祖代々の墓を残し去るとき、墓に対する哀惜の念。
崩落の山を掠めて鳥帰る 広島市 池田 萩邨
【評】水害で崩落した山肌が赤茶けて見える。その山肌を掠めて帰る鳥にも思いがあるのか。
大方は土の重さの苗木買ふ 広島市 井原 淑子
【評】苗木売りの本質をよく捉えている。苗木を枯らさないため土を多く付け、藁で巻いているのである。土の重さとは。
秋燕や瓦礫の町を郵便夫 広島市 川西 順子
【評】瓦礫というからには、災害地であるが、家を探しながら配達する郵便、秋の燕も巣を探しているのか。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
実梅落つ分水嶺の宿場町 東広島市 武田 弘子
病む人の寝息穏やか山桔梗 山陽小野田市 松木  宏
暖かや手斧づくりの床柱 広島市 中島 洋子
棕櫚竹の葉ずれの音や夜の秋 福山市 白鳥 典男
花笠のやうな大輪花菖蒲 福山市 三反畑 弘
七十年経たる被爆地蝉しぐれ 広島市 亀井 朝子
敗荷や戦後史ありし宇品線 広島市 折田 英男
遠ざかる父の記憶や終戦日 尾道市 木梨 瑞穂
島浦の舫へる舟にさくら散る 広島市 大田 利栄
送り盆茄子の牛にて帰らるる 尾道市 浜本真知子
枕辺に虫の声きく母の里 広島市 森野智恵子
芒揺れ終の道ゆく柩かな 安芸郡府中町 粟屋紀佐子
甌穴の水まろやかに秋澄めり 東広島市 清岡 早苗
わらべうた母の添ひ寝を恋ふ夜長 三次市 林  勝子
水神を祀る棚田に稲を刈る 三次市 林  敏明
万緑や村に新たな治水ダム 広島市 藤谷 知子
鉄橋を過ぎし一輛青田風 広島市 児玉 泰子
地球には戦後はあらず盆踊 三次市 前原 俊五
赤ペンの実習記録夏終はる 呉市 大田 千尋
島々も沖行く船も大夕焼 尾道市 浜田池鶴子