けんみん文化祭ひろしま’14文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま’14文芸祭 文芸祭 入賞・入選作品発表 【短歌】小山美惠子 選

【短歌】小山美惠子 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
走るたびすき通っていく風の色一秒のために駆け抜ける日々 庄原市立庄原中学校三年 永井 美彩
【評】一秒を縮めることに挑戦している。その無心さが「すき通っていく風の色」によく出ていて心の清々しさも伝わる。
草むらにかくれたバッタがおどろいてにんじゃのようにビュンと出てくる 三原市立木原小学校三年 岡本 実咲
【評】バッタがおどろいたとおもうきもちがやさしくてかわいい。にんじゃみたいにビュンと出たのはすごかったわね。
まってるよぷうるのじゅんびはできているはやくでてきてぎらぎらたいよう 庄原市立東小学校一年 石出 心羽
【評】「まってるよ」「はやくでてきてぎらぎらたいよう」ぷうるをとてもたのしみにしているのがわかりますよ。
また明日も暑くなるのと問う空に飛行機雲の答えはイエス 庄原市立庄原中学校三年 友清 美悠
【評】大気の状態により発生する雲。一般的には「空に問う」のだが、逆にしたことで詩が生まれた。結句のイエスが新鮮。
笛が鳴り最後のシュート放つ君入れと祈るばかりの私 清水ヶ丘高等学校一年 石川こなみ
【評】初句の入りが良く、三句までに臨場感が出ている。手を合わせて祈っている作者の、君への微笑ましい青春歌。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
追い風に力をかしてと話しかけきつく結んだスパイクの紐 呉市立広中央中学校二年 酒井 夏海
ひまわりに負けるもんかと背伸びする小さないとこあと10センチ 庄原市立庄原中学校三年 安広 ゆい
頂の景色目指して飛ぶ烏仲間と共にいざ参ろうぞ 県立総合技術高等学校一年 毛頭  碧
海の上大きな虹がかかってた知らない国へ行ける階段 大竹市立玖波中学校二年 小池 葉月
一歳児思ったよりも元気よく話せないけど話せた気がした 府中町立府中中学校三年 広畠美乃莉
かき氷ザクザクするよつめたいよお口の中がキンキンひえる 三次市立作木小学校二年 亀井恵里奈
見たいんだ本気にならなきゃ見られないつないだ先の輝く景色 県立因島高等学校一年 藤原 知佳
笑ってる部活途中に笑ってるあいつのヒザが爆笑してる 県立総合技術高等学校二年 渡部 楓人
あの頃の記憶のフィルムに焼きつけた摩耗してなお朽ちない想い 県立総合技術高等学校三年 山道永太郎
はたらけど身の丈ちぢみ汚れてく誰にもわからん鉛筆の気持ち 福山市立城南中学校二年 本庄 真菜
リフティング大技きめるこの足でけられるボール輝いている 大竹市立玖波中学校二年 長谷川祥大
穏やかな夏の青空見上げてはいつも心は8月6日 広島大学附属三原中学校二年 向井 柚葉
保育園つぶらなひとみ「それなあに」じっと見つめてまねっこするよ 府中町立府中中学校三年 渋谷 香音
ポプラの木とてもきれいな緑だね野球をしていておちつく色だ 庄原市立庄原中学校二年 高橋謙士朗
旅行から帰ってきたらなつかしく感じてしまう我家のにおい 県立三原特別支援学校大崎分教室高等部一年 増田 貴コ
ブロックで作った電車が走る部屋私はすっかり線路の一部 府中町立府中中学校三年 伊達 仁美
青空に向かって咲いたおっきな輪地上に咲いた黄色い太陽 県立総合技術高等学校一年 盛影  司
流れ星見つけてとっさにねがいごと言えたの二回かなうといいな 庄原市立東小学校三年 室田 遼弥
鳴るように照り出す日ざし浴びながらかすかに聞こえる夏の始まり 県立世羅高等学校二年 川本 春佳
「ワレワレハウチュウジンダ」と言う子供大量発生扇風機前 呉市立呉高等学校二年 白岩 直樹

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
壊してはならぬ平和と叫ぶ声六十九年目の胸にひびける 広島市 三浦 恭子
【評】平和を願う思いは広島に生きる者にはひときわ切実だ。社会詠の硬さを感じさせない結句に心の深さを思う。
盲たる母の手をひく少年の帽子にかげるとまどいの笑み 広島市 清水亀美恵
【評】障害のある母親に対する優しさの中に思春期の羞恥心など少年の複雑な心情をみている。下句にうまく表現された。
暗闇にさき光点見つめゐる視野検査とふ孤独なるとき 庄原市 家島 晶子
【評】】暗闇、光点、孤独な刻などの言葉の響き合いから、検査時の不安感までも伝わる。言葉に無駄がない。
入院の妻はベットに白髪を手櫛にて梳き我を待ちおり 大竹市 赤瀬 勝昭
【評】老夫婦の穏やかな愛の交感。たとえ手櫛でも夫の面会前には身だしなみを整えたいと思う妻。「手櫛」が効いている。
まどさんの逝きて淋しき詩の世界ゾウもおならもゲップも彼の世 尾道市 山崎 尚美
【評】「一年生になったら」よりも「もりのげっぷ」「おならはえらい」を詠みこんで個性的。詩人まどみちおに相応しい挽歌。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
原爆に焼かれし人々を忘れ得ずいま山津波にのまれし人はや 尾道市 吉原 浩子
晴天のつづかぬ夏に時折の画面に映る青空まぶし 広島市 中垣 悦子
切り株のひこばえあまた空を突く地下に溜まりしうっぷんの針 広島市 周藤  武
階段をかけ上りたる夢を見る一つふやしぬリハビリメニュー 安芸高田市 井上  愛
夏休みこども相談ラジオにて子供のレベルで知る星のこと 尾道市 高田 市子
雨が降るうれしさうなる雨がふる夕日に輝りて虹の雨ふる 安芸郡海田町 光岡 詔子
炎天を物ともせずに野に遊ぶ風を履きたる素足の子等は 福山市 廣本 貢一
指折りて光る言葉を探す子の眼差し熱く一首生まれる 庄原市 古家八千代
退院の涙と笑みが私の力となりぬ看護実習 呉市 前田 光江
久々の陽射し仰げばわが鬱の二十九画はつか緩びぬ 広島市 木戸 博恵
先生の声のかすれる校庭に運動会の日は迫りくる 呉市 天野 弘士
名月に亡き人想ひ庭に佇つ秘めたる心あらはになりぬ 呉市 島崎芙美子
花の芽と仄かに分かる赤い点見つけて妻の声は春色 広島市 高東八千代
夕星ゆうずつの灯り手許に貰いつつ谷の流れに鍬・鎌洗う 山県郡北広島町 沖野 幸子
波を切るしぶきにこころの泳ぐなり広島湾岸みどり広がる 安芸高田市 木下 敦子
「出て行け」と夫の云いたり窓開けて尖れる空気追い出している 呉市 遠藤 晴美
贅肉に好かれたことに気づくわれメタボがそっとしのびよるかも 安芸高田市 藤井美智子
菅笠を手馴れ結べば今もって古希なる吾を早乙女と呼ぶ 庄原市 屋敷ひろみ
義母看とり労わる言葉ないけれどちょっとだけ夫やさしくなった 広島市 岡田 郁枝
秋桜の中より出で来し白猫の四肢しなやかに跳梁のけい 広島市 田中 博子