けんみん文化祭ひろしま’13文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま’13文芸祭 文芸祭 入賞・入選作品発表 【短歌】大垰敦子 選

【短歌】大垰敦子 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
手話学び不自由な方とした会話言葉がなくても伝わる思い 府中町立府中中学校二年 伊達 仁美
【評】学んだ手話を実践して、言葉が話せなくても気持ちの伝達手段があることを知る。貴重な体験を率直に表してある。
泣きあととホルンの音色夕焼けに照らされ明日へ背筋を伸ばす 県立尾道北高等学校一年 笠井 綾花
【評】ホルンとの葛藤を眩しい夕焼けが解消してくれる。大自然に癒されて立ち直る過程を結句で決めている。
試験期間いつもと違う寮の中夜遅くまで聞こえる筆音 県立世羅高等学校三年 渡邉 大和
【評】筆音に真剣さが伝わる。いつもと違う本気が漲り勉学に真面目に向き合う様子が全体に現れて好感が持てる。
うしかいはまいにちたいへんえさやりがでもがんばるぞぼくのしごとだ 庄原市立東小学校四年 速見 琉生
【評】「ぼくのしごとだ」と言い切れることが素晴らしい。きっと立派な牛に成長するでしょう。元気な歌、応援している。
敗れても誇りを捨てず笑顔みせ僕だけが知る主将の涙 県立尾道北高等学校一年 中尾 莉久
【評】負けた悔しさを素直に表している。クラブ活動は実社会への貴重な体験、主将のプライドと笑顔が光る。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
郵便を引き渡すとき思うのは仕事と仕事はつながっている 府中町立府中中学校二年 井上 友里
富士山にでっかい扇風機取り付けて吹き飛ばしたい猛暑の夏を 県立総合技術高等学校一年 桝田 翔吏
大学のオープンキャンパス行くたびにふくらんでいくキャンパスライフ 県立忠海高等学校三年 中村 真子
誕生日プレゼントしたネクタイをボロボロになるまで使う父 県立廿日市西高等学校三年 大山  遥
寂しいと言えずに今日も我独り友とたわむる君を見つめる 県立世羅高等学校二年 東谷 幸佳
海と山キャンプにプール家族旅行夏休み中どれもしてない 福山市立福山高等学校一年 安井 将文
グランドの土がしみこみグローブは未来へつなぐ努力の証 庄原市立庄原中学校三年 川崎 翔希
部活後に空にむかって手をのばす大きな大きなソフトクリーム 福山市立福山高等学校二年 石川 照子
青空に広がる雲はいわし雲むれて楽しく泳いでいるよ 三原市立木原小学校六年 竹本 紀江
体験で初日いきなりそば打った最初はやはりかたかった 府中町立府中中学校二年 新田 大智
母の日に電話をかけてみたけれどありがとうだけ伝えられずに 県立世羅高等学校三年 下花 史佳
十八人息を合わせる櫂伝馬「よいさーよいさー」聞こえてる 県立忠海高等学校一年 成清 拓己
保育園園児と遊ぶ毎日で帰るときにはいつもハイタッチ 府中町立府中中学校二年 熊野 秀美
幼稚園キラキラネームがいっぱいだおみちゃんせひくんちゅらなちゃん 府中町立府中中学校二年 松原菜穂子
おじぎ草さわるとペコリたれてきてこっちもついつい頭を下げる 庄原市立東小学校六年 東  なみ
すずしいなきょうしつのまどあさがおがドレスひろげてだんすパーティ 府中市立上下北小学校一年 黒木 碧恵
みんなにねぎゅっとされたらうれしいな赤ちゃんのころ思い出すよね 庄原市立東小学校三年 田岡 千怜
箱の中小さな服が山積みに大きくなったね母はつぶやく 県立廿日市西高等学校三年 川上まど佳
年少の子達とつくるどろだんごまるで自分も二、三歳児 府中町立府中中学校二年 天崎 陽菜
提出の期限間近の履歴書の空白のままの趣味・特技欄 県立総合技術高等学校三年 福永 健太

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
向日葵の百万本のまよひ路出口の見えぬ農を危ぶむ 福山市 橋千恵子
【評】観光用か迷路のある向日葵畑。下句に注目、TPPの問題、後継者など農への不安を迷路に重ねて巧みである。
公園に声つつ抜けて少年の凧風つかみ秋空を舞う 大竹市 赤瀬 勝昭
【評】季節はずれの凧揚げ風景に新鮮さがある。少年の歓声も秋空に吸い込まれる。描写力に富み躍動感があって良い。
蕗の葉を丸めて掬う谷水の何んとも旨し補植田終えて 庄原市 荒木 純子
【評】農機具の及ばない所を手植えをする。重労働の後だけに蕗の葉で飲む谷水は至福の甘露。素朴な余情があり爽やか。
盛り上がる海面張力あるごとき春の潮路を釣船がゆく 三原市 細田 章子
【評】春の潮路をゆく釣船と海面張力の関連に自然の摂理の不思議がある。理論的なようだが詩情が立ち上がる一首である。
ケアハウスの多き人との関はりに今日も守りぬ口論禁止 福山市 有元あい子
【評】ケアハウスでの暮しの知恵か、口論禁止を自身への掟とされている律儀さに達観された配慮が伝わってくる。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
風鈴と扇子の並ぶ土曜市音を売る店風を買ふ客 庄原市 家島 晶子
太陽と老いていや増す熱情が育てしまっ赤なトマトを食べる 尾道市 橘和 淑子
実り田へ入りて自在にコンバイン女盛りのあざやかなるも 広島市 永宗 啓司
列なして咲く花しょうぶ高低も遅速もありてきかな佳き日日 山県郡北広島町 西樂 紀恵
豪雨きて猛暑をつれてどこえやら刈り取り前の稲は寝たきり 三次市 政広 一江
草茂る過疎かその古里夕暮て空のまほらをほうき星とぶ 呉市 塩家  実
訪れた海はあの日を詫びるごと寄せては返しまた寄せる波 広島市 高東八千代
島々は見る聞く旅や源平史一っ跳びするしまなみ海道 福山市 野村新太郎
ウインクをすればたちまち御馳走の出でくる魔法のテーブルが欲し 尾道市 福岡夫佐子
生まれたとメール届いて初孫は電波に乗ってわが手の平に 広島市 藤井 良子
兄征きし記憶に繋ぐ旗の波サッカー場に打ち振る日の丸 広島市 出口 政春
ブランコを漕ぐ少年の長きあし夕やけ空を蹴りあげてゐる 呉市 月原 光政
どっかりと大椅子に座し家長なるを味おうてみる留守居のわれは 広島市 松井 公子
クロールの一掻き毎に流し消す昨夜よべ諍いし言葉の欠片かけら 呉市 草野 綾子
チャプリンの演技に似せて老らくの舞台は百歩あるき方より 広島市 かじもと忠司
「ただいま」と声かけ入るプラスチックの金魚二匹が吾を待つ家 広島市 吉持 清子
母さんのうしろ姿によく似たる電動カートやわらかに越す 竹原市 栄谷 和則
おりおりに安心運ぶ鳩のごと老人ホームの母を訪ぬる 東広島市 今田あさ子
波布草を茶葉に炒るらし芳ばしくわれの寝床へただよう香り 安芸高田市 松浦 博幸
老いづきて背負う役目の減りつつも身の片隅に小さき夢もつ 神石郡神石高原町 高崎 律恵