【評】重い内容を力まずに詠い上げた秀作。灯籠の数は原爆犠牲者の数、作者は灯明を見つつ八月六日を胸に刻んでいる。
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台風が去った夕ぐれコオロギがかすかな秋を一つ運んだ
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比治山女子中学校一年
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尾崎 那美
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【評】小さな虫とかすかな秋の照応がよくコオロギの擬人化とカタカナ表記に工夫が見られる。豊かな詩情を大切にね。
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山口でSLにのったよ窓の外のけしきもつないでぐんぐん走る
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庄原市立粟田小学校三年
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若林 春奈
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【評】観察の鋭さとその視点が快い。新幹線では味わえないローカル線の特徴が下句にリズミカルに表現されている。
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ひたむきに丸い太陽追いかけるバレー選手のようなひまわり
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県立総合技術高等学校一年
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土井 一輝
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【評】】太陽をバレーのボールとひまわりの花に掛け、そのまま四句まで比喩を使ってひまわりを修飾する技法の見事さ。
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鏡みて大人になる日を待ちわびる熊野の筆でほほを染める日
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比治山女子高等学校二年
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山下 栞
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【評】サッカーの「なでしこジャパン」へ贈られたことで大人気の熊野筆、結句に乙女心と郷土愛がにじみ出ている作。
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