【川柳】題「夜」　角本華峰　選

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【特選】

作品	地域	お名前
風の編む詩情にふるさとは未完	廿日市市	迫本　苑子
【評】失われゆく「ふるさと」に、渇望してやまぬ作者の心象風景。表現力豊かで質の高い、一読魅了された作品である。
人間の深さへ味と香が足りぬ	尾道市	笠井奈那美
【評】年輪を重ねてみても、人間の深さを極めるなど至難の業。愛されてこその人間、凡人には未完成が相応しい。
フルムーン交響曲はまだ未完	竹原市	若年　幸子
【評】フルムーンと云えば、ＪＲの二人合わせて88歳以上の夫婦割引き旅行のこと。老いの交響曲はまだ序章、未完の響きが誇らしげである。
自分史にまだ落款が入れられぬ	三原市	鴨田　昭紀
【評】今や長寿たけなわ、自分史にピリオドを打つのはまだまだ。未完を輝かせているテクニックに喝采をおくりたい。
埋火の底に未完の恋ひとつ	広島市	村本クニ子
【評】未完の恋だからこそ、今だに埋み火となって息衝いているのであろう。淡淡と歳月は振り返らせてくれる。

【入選】