けんみん文化祭ひろしま’12文芸祭
トップページ 事業概要 けんみん文化祭ひろしま'12 文芸祭 入賞・入選作品発表 【俳句】木村里風子 選

【俳句】木村里風子 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
さびしいなせんこう花火落ちたとき 尾道市立向島中央小学校五年 井上 大海
【評】線香花火に点火すると花のような閃光を発散し、終りは玉になってぽとりと落ちる、その時の気持が純真。
父が打つ投網の中で鮎光る 庄原市立庄原中学校三年 中田 里穂
【評】投網を打つ父の腕前によろこんでいるのである。網の中で光る鮎を見ている親子。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
せみのから幹をがっしりわしづかみ 広島市立可部小学校六年 土井 颯太
フジツボが岩一面に夏の海 福山市立走島小学校四年 角本 空馬
かまきりよかまをかついでどこへゆく 坂町立横浜小学校一年 中野 真緒
あめんぼが水たまりでね運動会 坂町立横浜小学校四年 野坂 政虎
背伸びして風鈴ゆらす園児かな 府中市立国府小学校六年 奥村 百香
おにやんま空までとんで雲に乗る 廿日市市立阿品台東小学校五年 立石 希愛
青い海船の汽笛がなりひびく 英数学館中学校二年 桑木 里実
夕焼けが空に静かに消えてゆく 福山市立東中学校二年 橋遼太朗
網投げて汗きらきらと父の額 福山市立走島中学校三年 木村 愛莉
太陽で輝いているひまわりよ 府中市立府中中学校三年 木原 右人
風鈴がチリンと音を奏でてる 呉市立呉中央中学校二年 石井 那奈
太陽に負けず輝く林檎達 呉市立呉中央中学校三年 森田  薫
布団にて耳そばだてる虫の声 県立可部高等学校定時制四年 増崎知幸人
取り壊す母校を思い雨が降る 県立三原高等学校二年 三宅 咲乃
除虫菊白いじゅうたん寝てみたい 県立三原高等学校二年 村上 志織

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
稲の花認知の母が触れてゐし 東広島市 清岡 早苗
【評】好天つづきで今年も豊作か、稲に花が咲く。農に生きて来た母は、稲に対しては認知症ではないのである。
校舎消え校歌の青嶺在りしまま 広島市 松本壽賀子
【評】廃校になり校舎が解体されて跡地が虚しい。在りし校歌の歌詞の山は健在であるだけに郷愁が深い。
空生簀小蟹もろとも凍てにけり 広島市 井原 淑子
【評】冬の凍てつく漁港の荷揚場に積んである空の生簀の中の小さい蟹。生簀も小蟹も凍てる北国の景か。
艪の臍の緩き軋みや春浅し 廿日市市 頼経 素風
【評】一人乗りの小舟が入り江から漕ぎ出た。艪臍は艪を漕ぐときの艪に付いているくぼみだが軽い音に浅春を感じた。
校庭に子等の植ゑたる稲の花 福山市 貝原 玲子
【評】学習体験のために植えた稲に花が咲く、都会の学校であろう。この花がやがて実になる、子供達には好奇だ。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
鋭角に啼く鳥をりて明易き 庄原市 永宗 敏昭
三椏の寒九の水にさらしけり 広島市 平田 昭惠
釣舟の竿のきらめき秋の風 東広島市 武田 弘子
朝市に団扇でまねく店主かな 広島市 坂川  巖
蜘蛛の囲の真ん中に蜘蛛飢えてをり 庄原市 樋口津由子
盆の月夫の引揚げ話聞く 福山市 佐々木白蓮
放牛の群れ夏草に横たはり 福山市 井上トシ子
桜蕊降るや天皇火葬論 広島市 竹内 洋子
疲れ鵜に拍手の湧きて鵜飼果つ 庄原市 矢崎 稔子
水喧嘩も無くなり峽の一軒家 広島市 秋山たけし
鵜舟去り闇厚くなる川面かな 広島市 川西 順子
一坪の古着屋聖樹点しをり 広島市 石井三和子
駅名の文字のうすれや花カンナ 広島市 宮崎 玲子
古網で覆ふ無花果海女の昼 廿日市市 辻 美恵子
夜濯の軍手つらなる垣根かな 広島市 川本三栄子
冬ざるる船板壁の釘のあと 広島市 大田 利栄
山住みのいつしか親し青葉風 広島市 西 ヨシコ
東京へひとり戻る子秋暑し 東広島市 片岡 正人