けんみん文化祭ひろしま’09文芸祭合同大会
トップページ 事業概要 けんみん文化祭ひろしま'10 文芸祭 入賞・入選作品発表 【短歌】三浦恭子 選

【短歌】三浦恭子 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
きれいでしょ空を指さし自慢するだってあの星母さんだもん 県立廿日市西高等学校三年 山崎 真菜
【評】お母さんはお星様になられたのでしょう。「きれいでしょ」の歌い出し、「母さんだもん」の結句、共に胸に沁みる。
「まだまだ」と最後の力ふりしぼり窓から聞こえるヒグラシの声 県立祇園北高等学校一年 石井 大暉
【評】最後の力なのにそれでもまだまだと頑張る、ここが良い。子供だけでなく大人にも大切な事。内容も表現も巧み。
履歴書に未来の夢を詰め込んで大きく書いた電気工事士 県立総合技術高等学校三年 池田亜弥香
【評】自分の仕事に対する自信と愛着がしっかり伝わってくる。夢を詰め込むのも大きく書くのも真摯な姿勢の作者だから。
かんじゃったみやじマリンでペンギンがわたしのゆびをえさとまちがえ 三原市立神田東小学校一年 近廣 咲羽
【評】「かんじゃった・えさとまちがえ」このあたりのうたいかたが、じつにかわいいし、じょうず。そのときおどろいた?
大津波奪ったものも多いけど届けてくれた世界の愛を 県立世羅高等学校三年 阿部真里奈
【評】東日本大震災の死者は二万人を超え多くを奪ったが、支援の輪は世界に広がり愛が届けられた。素材の着眼点が良い。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
筆作り楽しく上手く出来ました一本の筆に命が宿る 熊野町立熊野中学校一年 浜本 愛香
教科書の与謝野晶子の詩集読み悲しく思う戦争の歌 呉市立呉中央中学校二年 堂本 清夏
手のひらを胸に押し当て考える今の自分から這い上がれるか 県立忠海高等学校二年 青木 賢二
つらいことたくさんあったの知ってるよいつも隣で見てたんだから 県立総合技術高等学校一年 吉川絵梨奈
かぶとむしことしもいっぱいとんできたうちのにわの木おいしいのかな 三原市立神田東小学校二年 新川千央里
汗流し走る子供をつつんでく森の陽と影このせみしぐれ 府中市立府中中学校二年 溝上 雄大
夏祭りいつも静かな街中も一晩だけの魔法にかかる 県立総合技術高等学校二年 桑原 志乃
日焼けして成長していく今日この頃脱皮の嵐が止まらなくなる 庄原市立高野中学校二年 峠  真悟
母さんの特製カレーほおばると口の中では花火があがる 三原市立小泉小学校六年 重坪 雪音
夏休み部活の後の空見れば紅梅色の雲がほほ笑む 福山市立駅家中学校二年 石丸 舞花
小学校最後の夏休み終わったよセミもとんぼもさびしがってる 庄原市立粟田小学校六年 大原 愛華
六年の時手話習い初会話手はふるえても笑顔が返る 比治山女子中学校一年 赤谷ひかり
担任のこの一言は忘れない「自慢の教え子―」わたしの宝 比治山女子中学校一年 藤原有貴子
エアコンの設定温度考えて一度で変わる地球の未来 県立総合技術高等学校二年 三宅 佑季
腕ずもう父に勝とうとがんばるが手から伝わる父のぬくもり 県立総合技術高等学校一年 末平 啓典
沖縄の歴史を知って考えた平和の心忘れたくない 熊野町立熊野中学校三年 郷地 若葉
大切な友達だよと君は言うそんな言葉が私を救う 三次市立塩町中学校三年 松本 美奈
大震災一日も早い復興へ思いを込めて募金活動 県立総合技術高等学校三年 上岡 京子
六月の雨の音する窓の外明るくするは紫陽花の花 広島市立五日市中学校二年 内海 茉子
僕は今ひねりにひねって考えた当選ねらうすばらしい短歌 県立総合技術高等学校三年 坊地 秀兵

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
田拵へ始めてよしと村中の辛夷の花の次々と咲く 庄原市 中原 幹枝
【評】辛夷は遠目で見れば木全体が白い花の様。村の美しい風景も顕たせて、春には春の農作業の伝統を詠みこんでいる。
失速もときに気楽と居直りて畳の上の夕映えにいる 廿日市市 藤本千代子
【評】何事かによって急に勢いを失くした作者が夕映えの中に仰臥でもしているのだろうか。心理の表出に奥行のある歌。
故郷ふるさとの放射能汚染嘆く友に熱く語りぬヒロシマの復活 三原市 豊原 國夫
【評】東日本大震災の放射能汚染、痛切な事態に対して広島の復活は強い力となる。熱く語る作者の〈真〉が心を打つ。
青い傘ゆうやみに母がゆらしおりバスの窓ぬぐい両手振るとき 安芸郡海田町 上條 節子
【評】心情を言わず〈別れの心情〉の滲む歌。青い傘の揺れと振る両手とが一つの構図となり、静かな抒情を醸している。
「三太郎」秋大根の品名に父の名思うこの種を買う 三次市 末丸  緑
【評】頭づかみの巧みな歌で四句切れによる結句の言葉も生きている。事実をそのまま歌いながら歌に個性がある。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
あふれゆく噴水の傍に寄りてくる八月六日死者の足音 広島市 高野 和子
百年の記憶の底の町並とふ写真と似たる里にわが住む 安芸高田市 小山美惠子
丹精を込めて育てし菊を焚くいのち尽くせし匂ひの立ちぬ 尾道市 日谷 薫香
両腕にはまゆう抱え墓参するあなたの好きな香りでしたね 呉市 柄  玲子
弟の送迎バスを見送りてねこじゃらし摘む姉も幼し 安芸郡府中町 島田 郁夫
二十キロの重さに耐えて押し花の夏は終りぬ明日登校日 広島市 浜井 尚子
出っ張った腹も農には価値のあり盥に満杯のラッキョウを運ぶ 東広島市 藤田 泰恵
エノラ・ゲイ移され大戦の痕跡なき博物館に月の石見つ 広島市 光原 桂子
六十より習いし卓球二十年バックハンドは私の兵器 三原市 細田 章子
ドーハより君の送りし絨毯に乗りて飛ばんか歩けぬ私 広島市 大峠 敦子
被災地に響くじょんがら念仏の祈りの舞よ届け御霊に 世羅郡世羅町 石橋美智子
手をかさねその温もりに眠りゆく病夫と過ごすひと日おわりて 廿日市市 岩木美代子
一生でどれだけの人と出会うだろうどんな意味を持ち逢うのだろうか 広島市 佐久間貴子
必ずや明日あることを信じつつ人参の種ていねいに蒔く 東広島市 中重 水子
ストレスも悩みも生きるバネとして車椅子の夫に笑みて添いたし 広島市 長尾 裕子
「たり」「けり」に親しまざりし君なれば文語体にて告ぐ胸の内 安芸高田市 的場ひかり
カタカナの被爆の地名ひとつ増えドームに黒き夏雲かかる 広島市 佐東 晴登
きじ鳩のひな身をすくめにらみしと庭師は梯子静かに外す 広島市 木村 温子
公園に声つつ抜けて少年らの凧風はらみ青空を舞う 大竹市 赤瀬 勝昭
歌詠めのテストの問いに少女おとめらは視線をそらに白き指折る 三原市 上村 純治