けんみん文化祭ひろしま’10文芸祭合同大会
トップページ 事業概要 けんみん文化祭ひろしま'10 文芸祭 入賞・入選作品発表 【俳句】和田照海 選

【俳句】和田照海 選


※コンピューター環境で表示するため横書き表記としています。ご了承ください。

小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
日やけして水着ぬいでもまだ水着 府中町立府中中央小学校四年 静間 朋子
【評】水泳が大好きな子どもは多い。しかし「水着ぬいでもまだ水着」という子は少ない? 見事な発見である。
あめんぼが川の流れをつかんでる 庄原市立西城小学校四年 山口 実月
【評】すなおでものの見方がみずみずしい。いつもぎもんや、ふしぎに感じる心をもっている小学生である。
定置網春の漁ゆく父の船 福山市立走島中学校三年 高橋 昌展
【評】大きな網をつくろっていた父。春先しかけた網の漁がいよいよ始まる。その安全と大漁を祈っているのだ。
大りょうぶしソロで歌って父の船 福山市立内浦小学校三年 兼田 未空
【評】大漁節を、りょうしさんは必ず歌う。その大漁節を父の船で大声で一人で歌っている。大漁はまちがいなしだ。
まだ誰も来ぬ図書室や今朝の秋 県立広島高等学校一年 有谷久美子
【評】一番のりの図書室は静かだ。きびしい残暑だが、「立秋」と言う季感から雲の漂いや葉擦れに秋を実感した。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
梅干がご飯の上で笑ってる 呉市立呉中央中学校一年 谷野 今飛
ひまわりの種がとられて人の顔 坂町立横浜小学校四年 河野 有莉
読み耽る小泉八雲月見草 県立広島高等学校一年 米田 千紘
ぬいでなお着ているような日やけかな 尾道市立吉和小学校三年 山本 修平
紫陽花の青ばかり咲く旧家かな 福山市立駅家中学校三年 井本 美月
こいのぼり見えない水を泳いでる 尾道市立吉和小学校三年 廿枝 美帆
朝顔が朝日に向かいラッパ吹く 三原市立小泉小学校五年 大野  航
巻き上げるきしむローラーちりめん漁 福山市立走島小学校六年 宮地 塁斗
一輪車まだ乗れなくて夏終わる 三原市立小泉小学校五年 郷原 瑞基
なつやすみぼくのはぬけたすっぽんと 竹原市立荘野小学校一年 藤岡 法佑
制服が小さく感じる四月かな 呉市立横路中学校一年 神垣 知生
暗闇に点描画描くホタルかな 広島市立美鈴が丘高等学校二年 竹重 香織
庭に干すサヨリのカーテン揺れている 福山市立走島中学校三年 村上 昌吾
入道雲空の画用紙落書き中 尾道市立吉和小学校四年 掛田 実里
日焼けして私ただいま脱皮中 尾道市立吉和小学校四年 伊田  愛
ごほうびはきれいないろのかきごおり 竹原市立吉名小学校一年 吉岡 美妃
てつぼうでぐるっとまわるとひまわりだ 世羅町立せらにし小学校一年 中山 直士
定置網ピチピチ魚がジャンプする 福山市立走島小学校六年 高橋 啓介
夏風にふくらむ夢とカーテンと 広島市立瀬野川東中学校三年 久保田彬恵
陸上部夏のトラック蜃気楼 福山市立東中学校一年 増本 憲人

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
パソコンの中のごみ箱ちちろ鳴く 江田島市 山口 美智
【評】パソコン中に、近くから蟋蟀の鳴き声が聞こえた。それをパソコンのごみ箱からだと言う発想が斬新である。
大根も干して看取りを怠らず 福山市 亀井 福恵
【評】看取りの合間にも雑事をこなす作者。「怠らず」という一言で、決して疎かにしていない事が頷ける。
逝きてなほ温みをのこす湯婆かな 福山市 永久万里子
【評】身罷る人の体温がまだ湯湯婆に残っていて、死者の温かみと捉えた。思慕する心が凝縮され哀切を覚える。
臨終といふ訣れあり天の川 三原市 成末知歌子
【評】人の世に様々な別離がある。中でも死に臨む別れは辛くて悲しい。冷厳な事象をとらえた詩眼は的確である。
約束の反故には出来ぬ残暑かな 福山市 広川 良子
【評】今年の酷暑は格別であった。二人で交わした約束事は何としても守らねばならない。「残暑」が効いている。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
梅干の紅くすむ終戦日 庄原市 竹地 惠美
笹百合や土盛るだけの牛の墓 安芸高田市 境江富美江
絶え間なき夏鶯や納骨す 広島市 天野  泰
一山の花栗なだれ過疎すすむ 福山市 山本 豊子
上りたる海女の磯笛大南風 福山市 水川 博晶
ハモるかに聞こゆることも秋の滝 広島市 江坂 美紀
届かざる山姫はみな空のもの 福山市 大塚 文枝
火焙りのごと炎帝を戻り来る 広島市 川手 和枝
神の子の一番太鼓手火祭 福山市 佐藤 安子
潮の香を消し海峡の花みかん 広島市 宮下 慶子
いくたびの死線を越ゆる返り花 福山市 大村キミエ
脱ぎ捨てて身の置き所なき大暑 福山市 小林 照二
ひとり降り駅員霧の灯を消しぬ 福山市 津田 重子
春惜しむ遠目差しの埴輪かな 広島市 柿澤喜三郎
合掌の杖倒れたる原爆忌 広島市 塚田 裕之
窯口に薪積み上ぐる晩夏かな 東広島市 山田美佐子
河骨やかつと見開く義士の像 東広島市 武田 弘子
我が代で閉づる呉服屋夏暖簾 福山市 佐藤 浩子
灯明銭子らの集める地蔵盆 尾道市 浜本真知子
生き方はもう変へられず秋の蝶 福山市 上原 榮子