けんみん文化祭ひろしま’09文芸祭合同大会
トップページ 事業概要 けんみん文化祭ひろしま'10 文芸祭 入賞・入選作品発表 【短歌】三浦恭子 選

【短歌】三浦恭子 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
熊野筆世界で一番つかわれるそのふるさとが私のまちだ 熊野町立熊野中学校一年 世良 千春
【評】熊野筆が世界で一番である事、その熊野が私のまちである事、そのほこらしい気持は、あなたが町を愛しているから。
最近ね恋してるんだ気づいてる?放課後のグランドにいる君の姿に 県立総合技術高等学校二年 林 菜々子
【評】まだ淡い恋ごころを若々しい言葉で新鮮に表現している。「気づいてる?」ここが明るく素直でとてもかわいらしい。
空の青仰ぎながら息をする今日も平和な八月六日 県立総合技術高等学校三年 福地 萌音
【評】原爆投下の日の惨状それに続く被爆者の苦しみ、そこを離れて「平和な今」の八月六日を詠む。平和の尊さに気付いて。
せみのこえどんなおはなししてるかなわたしもいっしょにおはなししたい 庄原市立粟田小学校一年 わかばやしはるな
【評】せみのこえが、おはなししているようにきこえたのは、こころがやさしいから。おはなしできるとたのしいのにネ。
梅雨の雨シャワーのように木々たちにすてきなダンスをおくっているよ 三次市立酒河小学校六年 河村 美希
【評】雨のシャワーを浴びた木々たちのダンス、ゆれゆれて葉っぱもダンスをしてるのだろう。詩の心で詠む事を大切に。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
核兵器絶対なくそうこの世から平和な世界にしていくために 県立総合技術高等学校一年 山下 瑞輝
空いちめんもくもくもくもくもくもくと入道雲がわたがしみたい 三原市立第四中学校二年 川本なつみ
お母さん今日のみそ汁濃いめだね?何気ないけど「家族」の会話 県立総合技術高等学校三年 田島ひかる
気がつけば仕事休んで参観にいつも背中に母のぬくもり 庄原市立庄原中学校二年 井上 七海
夏祭り慣れない下駄で歩いてく君の隣でほほを染めつつ 県立可部高等学校定時制二年 桑原  聖
私はいつも上を向いて生きたいあのまっすぐな向日葵のように 県立総合技術高等学校一年 平野友美子
「金賞」の知らせ届いたうれしさに「はい」の返事もつい裏返る 三原市立宮浦中学校二年 夜舩 史奈
初めてだ素手でつかんだたこあげてオリャーと叫ぶ体験学習 三次市立酒河小学校五年 平野 詩織
はしの上いっぱいいたよ赤とんぼまたみてみたいおとうさんとね 庄原市立粟田小学校二年 森続 悠成
八月の夏の日に聞く祖父の記憶六十五年経っても消えない被爆者の痛み 県立総合技術高等学校三年 坂井 仁美
肩をさす重い荷物の帰り道ドアを明けると温かな声 庄原市立庄原中学校一年 倉本 朋子
熊野筆みんなでつくり楽しくてニコニコ笑い笑顔あふれた 熊野町立熊野中学校一年 内野 詩織
じいちゃんの作る野菜が献立に入ってる日は少し自慢だ 庄原市立庄原中学校一年 篠原明日香
ひさしぶり雨のにおいが広がった土のにおいだくんくんくくん 竹原市立荘野小学校三年 谷  海璃
草たちや生き物たちが歌ってる空にいっぱい鳴り響いてる 呉市立呉中央中学校二年 野村 怜那
バスケット走って走って強くなる友と流した汗の分だけ 三次市立三次中学校二年 新川 月乗
豪快に笑うあなたの存在は元気をくれるチームの太陽 県立総合技術高等学校二年 小林 理歩
発見だいとこのゆうとが立っているつくえをつかみ力をこめて 三次市立酒河小学校四年 福間 清賀
本当に核なき世界は10年後実現するのか世界の夢は 県立総合技術高等学校一年 高木まのん
たいへんだ三年夏の宿題は漢字に計算ドリルに科学研究 三原市立幸崎小学校三年 河野 博紀

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
過疎進む村に戻れる若夫婦の三人みたり児の服竿におどれる 呉市 河崎 典子
【評】現代が抱える「過疎」という重いテーマが明るく展開していく歌。三たり児の服が竿におどる景に未来が見える。
手選りせし大根の種子二百粒芽生えしとは手話でよろこぶ 世羅郡世羅町 行田 照子
【評】初句から結句まで一つ一つの言葉がどれも大切な意味を持っている。二百粒の芽生えの感動は読者にも伝わってくる。
君の弾く「雨垂れ」君がいない今も僕の庭を濡らしています 広島市 菅  桃子
【評】現実の具体を払拭した下句が、幻想的な雰囲気を持つ。ショパンのピアノ曲「雨垂れ」は雨の象徴・・・。ロマンが漂う。
籠にゐる鸚哥の知らぬ大空にスワンのやうな白き羽根雲 安芸高田市 小山美恵子
【評】インコは現実、スワンは夢。この両者が融合して、上句と下句が不思議な柔らかさで響き合っている。詩的な短歌。
水を欲り数多逝きしという河岸石座りおり祷るかたちに 呉市 清野 利恵
【評】原爆投下より六十五年、詠み残すべき務めが我々にはある。置かれた石を「祷りの石」と見た作者の心の深さを思う。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
語り部は八十路半ばか惨状を一人ひとりに目合わせて説く 広島市 齊藤 幸八
思春期のわが頬打ちし父なりきその目の涙いまも忘れず 安芸郡海田町 光岡 詔子
役目終えし案山子かかしも共に焼く夕べ豆がらの炎の赤く燃えたつ 山県郡北広島町 沖野 幸子
那智山にこれより上る五百段傘寿と喜寿がリュックを背負ふ 安芸郡府中町 三刀屋安子
友逝きて無人となりし峡の家臘梅の花万燈ともす 庄原市 田中 静子
断りの手紙は馴れない横書で湿り気のない楷書にて書く 広島市 佐東 晴登
ふるさとの緑をみし黒牛を埋める大地に静かなる雨 呉市 脇田 薫子
名月に誘われ君と散歩する影もしっかりと手を握っている 広島市 松木  宏
天に向き真っ直ぐ咲きおり曼殊沙華花には花の秩序あるらし 広島市 山重 美岐
ふと降りし駅のひとつか歌詠みを誘われ十年歩み来たりぬ 三原市 村上 悦子
ひろしまでオバマ大統領に見て欲しき全員爆死と記せる碑文を 広島市 出原 知恵
住む人のなき荒れ庭をぬた場としししの親子が月夜に遊ぶ 広島市 中野 冨子
小いわしは日本酒がよし一合にほろ酔となり夫の饒舌 広島市 宮野登世子
水不足に曲がれる胡瓜L・U・O英字の並ぶわれの畑は 広島市 松井 公子
時鳥鶯郭公栖みつきて隣家の庭は山に還りぬ 庄原市 稲迫 定子
鉢植えの未だ幼きいちょうの木幼きながら黄葉して立つ 安芸郡府中町 荒巻 武子
原民喜の「夏の花」とう文読みて被爆樹木に思いを馳せり 広島市 吉川 徳子
小引き出しに診察券の束ねあり生き来し証重く手にする 安芸高田市 片岡シズカ
家族という優しきものを吾に残し夫逝きませり花に先立ち 広島市 中川多鶴子
暑き暑きこの夏「凛々子」を育てたりまっ赤なイタリアトマトのりりこ 広島市 田部 紀子